2009-01-29

専門家らは制度を不安視 外国人介護職

:::引用:::

 インドネシア人の介護福祉士候補生の実務研修が始まり、これまでの語学研修から実際に介護現場に出て高齢者と直接触れ合いながら、資格取得を目指す。介護業界では低賃金や重労働が敬遠され人手不足が深刻なだけに、初めての本格的な外国人労働者の参入に期待する声が上がるが、候補生は大半がイスラム教徒で、受け入れる施設では習慣の違いや言葉の壁などさまざまな問題の対応に追われており、専門家らの間で制度を不安視する声が少なくないのが実情だ。

 候補生は来日から4年以内に日本の介護福祉士資格を取得すれば定住も可能となる。ただ、受験には3年間の実務経験が必要なため受験機会は一度だけで、取得できなければ帰国という厳しい条件がつけられている。

 また受け入れ先の施設には、語学研修の継続が義務づけられているが、関西の介護福祉施設の責任者は「通訳や家庭教師を雇ったり、勉強環境を整えるための負担の大きさは想定外」と困惑の表情を浮かべる。中には国家試験合格よりも日本での経験をもとに、母国で就労を希望する人もいて、必ずしも思惑は一致していないという指摘もある。

 アジアの看護・介護事情に詳しい京都大大学院の安里和晃准教授(移民論)は、受け入れ施設での教育体制の一元化を唱える。「現状では候補生の指導は施設任せで、誰がどうやって外国人を教えるのか、きちんと体系化されていない」と指摘。その上で「国の施策として、外国人労働者の受け入れを進めていくのであれば、教育する側の人間の養成も並行して進める必要がある。候補生が働きやすいような制度設計やマネジメントを考えなくてはいけない」と話した。


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