2009-01-05

2009年におけるIT技術者の目標10選

:::引用:::

 新しい年を迎えたこの時期は、企業をより良いものにしていくためにできることを考える良い時期でもある。持つべき具体的な目標はあなたのいる環境によって変わってくるだろうが、以下に挙げるものは、どのようなIT部門においても適用できるはずだ。

 新しい年を迎えるこの時期は、ITに関連するプラクティスをさらに洗練したり、業務全体を推進し続けるための新技術の導入を図ったりするチャンスであるはずだ。そこで、2009年に検討すべきポイントを以下に挙げていく。

#1:クロストレーニングに対して現実的なアプローチをとる

 クロストレーニング(担当者に対して、当人の専門分野以外のトレーニングを実施すること)は、コンセプトとしては素晴らしいものだ。しかし、クロ ストレーニングをしっかりと実施できているIT部門が実際にどれだけあるというのだろうか?私は、完全なクロストレーニングを実施することなどIT部門で は不可能だと考えている。ただし、クロストレーニングに向けた戦略の1つとして、主担当要員と副担当要員を用意し、それぞれに対して大きな指針に基づき、 完全なクロストレーニングを行ううえで必要となる時間とトレーニングに投資するというものを挙げることができる。こういった例の1つとして、 Microsoft Exchange環境を挙げることができる。管理者であれば誰でもアカウントの登録や削除を行うことはできるだろうが、Exchangeのログファイルや データベース、メッセージキューが絡んできた場合はどうだろうか?どのようなシステムやプラットフォームにおいてであっても、こういった状況が発生した場 合に備えて副担当要員をトレーニングしておくということが、クロストレーニングを行ううえでの現実的なアプローチとなるはずである。

#2:仮想化に対して一層の努力を行う

 自社における仮想化の現状を一歩下がった視点から再確認してほしい。仮想化できそうなシステムがある--しかし、それを阻むちょっとした問題があ る?USBのライセンスキーや、より大容量のストレージといったものにまつわる問題については、物理的なシステム障害によってより大きな問題が引き起こさ れる前に、今のうちに解決しておいた方がよいのかもしれない。あなたの環境において次に仮想化を行うところはどこだろうか?仮想IPアドレスを用いた仮想 ネットワークや、仮想デスクトップ、仮想アプリケーションは、あなたの企業にメリットをもたらすはずである。現在の環境において、仮想化はデータセンター の電力消費量を削減するための単なる手法に留まってはいないのだ。

#3:必要な場合にはノーと言う

 現在の景気状況においては、どのIT企業もその努力は限界に達しているように見える。こういったことは、予算に対するプレッシャーやコスト管理の 形態、要員へのしわ寄せ、要員のやり繰り、そしてもちろんテクノロジ自体にまで及んでいる。ITの進捗速度と、ITに対する要求を考えた場合、「いいえ、 現在のリソースでそれを提供することはできません」と言うべき時にきているのかもしれない。もちろん、こういった態度に出ることで何らかのしっぺ返しをく らう可能性もあるものの、限界というものがあるということを主張すべき場合もあるのだ。あなたの主張を裏付けるには、Gartnerのような大手のIT調 査会社の調査結果を引用し、あなたの企業の規模および業務に適切な要員リソースを数値化するという方法もあるだろう。こういった第三者の見解を取り入れる ことで、ITによって解決できることと解決できないことを明確化し、資金を供給する側やニーズを提示する側が、より多くのリソースを提供するべきなのか、 あるいはニーズを減らすべきなのかということを把握しやすくすることができるのである。

#4:64ビット化を進める

 現在のハードウェア環境に目を向けると、OSや中核アプリケーションの64ビット対応が今までにも増して進んできている。ドライバやバックアッ プ、ウィルス対策ソフトウェアが64ビットプラットフォームに完全に対応していないといった、64ビットシステムにおける生みの苦しみとも言える初期の問 題の一部は既に解決されている。64ビット対応のOSやアプリケーションを導入すべき時期だと言える説得力ある根拠として、2010年中のリリースが予定 されているWindows Server 2008 R2(関連英文記事)では64ビット版しかサポートされないという点を挙げることができる(ただし、Windows Server 2008の初期リリースではx86版がサポートされる)。

#5:手を抜いた部分をフォローしておく

 われわれは皆、長時間労働をこなしており、すべてのことを完了させる十分な時間を持ち合わせていない。このような働き過ぎの状態では、システムを うまく機能させるためにちょっとした部分で手を抜くことになってしまいがちになる。2008年中に実装したことはすべて文書化しただろうか?使用しなく なったテスト用のサーバやアカウント、プログラムは削除しただろうか?システムの全体的な品質を向上させることのできるこういった小さな環境整理作業(関連記事)は、手つかずのままになっている可能性が高いはずだ。

#6:新システムの設計や実装にあたって障害回復機能を組み込んでおく

 新しいソリューションを実装する際、障害回復機能を組み込んでおくことで、枕を高くして眠ることができる。こういったことは、2つのデータセン ターをまたがる実装の場合は特に言えるはずだ。また、複数のシステムをまたがるトラフィックのロードバランシングを行うための仮想IPアドレスや、仮想 化、クラスタリング、その他の仕組みといったテクノロジを用いることでもこういったことを達成することができる。残念ながら、障害回復における万能のソ リューションというものは存在しないため、総合的なソリューションを提供するために複数の障害回復テクノロジが組み合わされる場合がしばしばある。こう いったシステムの例としては、2台の仮想マシン上に配置され、仮想IPアドレスによるDNS名が割り当てられたWebサービスを挙げることができる。これ により、ミラー化されたデータベースに接続されている2つのWebサービス間で、ロードバランシングを行うことも可能になるのだ。

#7:ちょっとした作業を自動化する

 DNSのエントリを変更する際、複雑な作業を行う必要などあるのだろうか?また、サーバ作業を行うたびに誰かを呼び出して支援を求めるという手間 についてはどうだろうか?今こそちょっとした自動化に投資し、こういった作業の重荷を取り除く良い時期なのである。オープンソースソフトウェアの世界で は、特定の状況における電子メールの応答を自動化したり、呼び出しサービスを行うといったツールがいろいろと提供されている。Windows Server 2008 Coreのような新しいオプションを用いることで、単純な.BATファイルやPerlスクリプト、PowerShellスクリプトで自動化のソリューショ ンを作成することもできるはずだ--2009年はこの手を使おう!

#8:古いOSを捨て去る

 Windows NTやWindows 2000はまだ使用されている。今がこういった古いOSを捨て去る良い時期なのかもしれない。とは言うものの、それは言うほど簡単な話ではない。まず、こ ういったシステムを使い続ける必要がある場合、仮想マシンにすることもできるはずである。2003年よりも前のハードウェアであったとしても、たいていの 場合は仮想マシンにすることができるはずだ。しかし、この場合には別な問題が出てくる。古いOSを仮想マシン上で稼働させることにより、そういったプラッ トフォームを捨て去るプレッシャがなくなってしまうのだ。このため、何を使い続け、何を捨て去るかを慎重に決定する必要がある。捨て去る必要のあるプラッ トフォームに関しては、そのためにやるべきことを決定しておかないといけないのだ。

 また、こういったことは使用している古いハードウェアにも当てはまる。データセンター内を歩き回り、「今年は2009年だ。この機器を使い続ける ことでリスクを高めることになってはいないだろうか?そうであれば、これを捨て去るためにどういった行動に出る必要があるのだろうか?」と自身に問いかけ てみるべきなのだ。

#9:ユーザーグループの活動に参加する

 他のIT技術者が、あなたの行っていること、あるいは行おうとしていることと同じことを行っている可能性は高い。あなたが抱えているのと同じ問題やニーズに関して、他の人々がどういったことを行ったのかについて偏りのない意見を聞くということほど有用なことはない。 VMware Users Group(VMUG) といった専門分野に特化したグループや、現代の市場に見合った問題について話し合うために同じ目的を持つ人々が集っているようなユーザーグループを探して みるべきである。また、こういったグループによるイベントが近くで開催されるというのであれば、実際に出かけてみるのも良いだろう。電話会議に参加した り、掲示板への投稿を読んだりするだけでは得難い体験が、実際にイベントに出かけることで得られるはずだ。さらに、供される食べ物は、実際に味わうに限る のである。

#10:必要に応じて委譲する

 ほとんどの環境において、IT部門がかかわるシステムやプロセスの数はここ数年で大幅に増加してきている。私の経験から言えば、IT部門における インフラチームと、その他の要員、そして業務部門の間にはそれぞれを分ける境界線が存在する。こういった境界線は必ずしも障壁になるとは限らないものの、 それぞれの責任分担を明確に分けるためのものとなっているのだ。こういった状況において、(業務部門や開発チームから)責任者へと権限を委譲することが、 インフラチームの要員リソースを解放するとともに、開発やアプリケーション、業務に携わる各部門がIT環境内で必要とし、かつ自らで管理できるものを管理 できるようにする第一歩となるはずだ。こういったことには、Windowsサービスの停止や、システムのDNSエントリに対する権限設定(一般的には CNAMES)、簡単なデータベースクエリ権限の設定などがある。アプリケーションの責任者に任せれば済むような低レベルのタスクに忙殺されているという ことは、われわれが自らの時間を有効に活用できていない証なのだ。


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