◇外国人受け入れ基準緩和を--舟久保利明(ふなくぼ・としあき)さん
--景況感は?
◆原材料高で利益は圧迫されている。そのうえ大企業が業績悪化に伴って下請けへの発注を減らしており、我々中小企業は苦境に立たされている。この2~3カ月は受注量が特に落ち、廃業する会社も増えている。
--政府は総合経済対策で中小企業の資金繰り支援策などを打ち出す予定です。
◆現在の原材料高も景気低迷も、さまざまな要素が絡んだ国際的な問題だ。政府のその場しのぎの対策でどれだけ効果があるのか。今こそ長期的な視点 に立ってモノづくりの足腰を強める施策を打つべきだ。例えば、どこよりも優れた技術を持つオンリーワン企業は、今の不況下でも好調だ。
--具体的には何が必要ですか。
◆中小企業に人材を行き渡らせるため、外国人研修生や実習生の受け入れ基準を緩和すべきだ。中小企業は慢性的に人手不足。大田でも高齢化が進む工 場では、外国人を研修生などとして受け入れているが、彼らはどんなに優秀でも3年で日本の土を踏めなくなる。これでは技術を次の世代に伝えていけない。
--外国人研修生を劣悪な環境で働かせる企業もあります。
◆多くの企業は相応の待遇で迎えている。しかし研修生の受け入れ手続きが煩雑なために専門業者が介在し、研修生の報酬を中間搾取するケースもある。国は書類上の手続きだけに目を光らせず、実態に合った受け入れの判断をしてほしい。
--ほかに求めるものは?
◆この数年で道徳的な格差も大きく広がった。食品会社の相次ぐ偽装や教員の不正採用事件はその典型だ。目先の誘惑に負け、仕事への誇りを見失っているのではないか。子供たちに仕事の大切さを教える取り組みも必要だと思う。【聞き手・宮島寛、写真・塩入正夫】=つづく
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■人物略歴
東京都大田区の中小企業約800社が加盟する大田工業連合会の会長。同区内で金属などの特殊加工を手がける昭和製作所(従業員約45人)を経営している。同区出身。64歳。
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