2008-09-05

人材活用のポイント:大学と連携した採用PR活動

:::引用:::
 前回は中国での人材活用におけるポイントとして、「人づくり」のマネジメントからグローバル人材の活用について述べた。今回は、採用や企業イメージ向上のための「PR活動」について書いてみたい。

  中国人人材の採用に際して、人材紹介会社を用いるなどの方法もあるが、外資系企業は(1)大学のキャンパスにおける採用説明会の実施、(2)大学における講義、(3)奨学金の提供、(4)インターンシップの実施など、様々な方法で企業イメージを学生にPRしている。

   特に、欧米系企業はその傾向が強く、大学対応の部署を設置、特定の大学におけるピンポイント採用などを実施している例もみられる。インターンシップにし ても、大学2年時位から1年、2年という長期的期間でインターン生を受け入れ、自社の風土を感じてもらうと共に、その学生が優秀であればそのまま採用につ なげていくようなシステムを作っている。

  米系の大手IT企業では、中国全土の大学3年生を対象に傘型企業内で夏休みの2ヵ月間、研究 開発のインターンシップを実施しており、うち、結果として40~50%が志願者になるとの話もあった。また、大学内での研究室設立支援や自社ソフトがイン ストールされた最新のパソコンが設置された研究室を一定期間学生に開放し、自社製品への認知度を間接的に上げるような取り組みもみられる。奨学金も企業 PRの一環として与え、入社を義務付けていないケースが多い。

  欧米系企業の場合、これらは中国に限った取り組みではない。例えば、米 国企業は米国の大学やビジネススクールなどで企業の採用説明会や面接まで実施しているし、インターンシップは給与も支払う形で行って大学側も学校の単位の 一部としてその活動を認めるということが日常的になされている。こうした活動を中国含めグローバルに展開しているということなのだ。

   また、ある台湾系のICなどに強みを持つIT企業も優秀な中国人エンジニアを採用するため、中国各地の大学で説明会を行っている。北京、上海、西安、武 漢、成都などにある理工系大学を採用のターゲットに絞っている。こうした大学で採用説明会を開催する他、「IC TRIP」と称し、ICデザインなどにつ いて講義している。講義により、ICの知識を深めてもらうと同時に自社のPRも行うことができるのだ。

  日系企業はこうしたPR活動や企業イメージと実際の採用・人事が戦略的に結びついていないケースが多い。今後は中国での採用や日本国内における中国人等留学生採用においてもより大学との連携を深めていく必要があるだろう。(執筆者:九門崇)

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