2009-04-10

Gmail誕生から5年、「実験室」も日本語化

:::引用:::
米グーグルの無料ウェブメールサービス「Gmail(ジーメール<http://www.gmail.com/>)」が、4月1日にリリースから5周年を迎えました。当初、英語版のみが提供されていたGmailも、今や日本語を含む52の言語で利用可能になり、様々な機能強化が行われてきました。誕生日目前の3月下旬、「Gmail Labs」(Labsとは研究室や実験室のこと)という面白い機能が日本語対応になりましたので、紹介しましょう。(斎藤幾郎)

Gmailは現在も進化中

 Gmailは2004年の4月1日に公開されました。一つのアドレスあたり2ギガバイト分のメールが保存できるという、当時としては破格の大容量を提供していたため「グーグルのエープリルフールのネタ」だと思い込んだ人も多かったほどです。

 ウェブブラウザーに適した簡易プログラミング言語ジャバスクリプトを用いた「AJAX」という手法を使い、従来のウェブメールにない、専用ソフトのような操作体系や素早い画面切り替えも実現していました。現在に至っても検索の素早さや、迷惑メール対策の精度の高さなどが評判で、「ウェブメール」というサービスの一種としてのみでなく、ブラウザー上でソフトを動かす「ウェブアプリケーション」としても、エポックメーキングな存在だったのです。

 5歳の誕生日を迎えた現在(画面1)、Gmailのメール保存量は1アドレスあたり7ギガバイト以上に増加し、今も日々少しずつ増加しています。すでに「容量無制限」としている他社のサービスがあるためインパクトは薄れましたが、Gmailも容量の追加をやめる予定はないようです。

 また、5年の間に様々な機能が追加されてきました。ワード、エクセル、PDFなどの添付ファイルがブラウザー上で確認できるようになりましたし、音声や映像付きの「チャット」も可能になりました。2月にはメールの分類に使う「ラベル」の操作や「連絡先」の管理が改善されています。

 日々進化し続けているGmail。Gmailにはいつまでも「BETA(ベータ。開発途上の意)」とついていますが、それは「中途半端」を意味するものではありません。「継続的に進化する」意志を示しているのです。まれに、サーバートラブルで送受信に問題が起きたり、今まで除去できていた迷惑メールが漏れたりすることもありますが、かなり満足度の高いウェブメール・サービスだと言えるでしょう。

 このような「公式の機能強化」に加え、Gmailでは非公式な「新機能の実験」が行われているのはご存じでしょうか?

 実験中の機能を総称して、「Gmail Labs」と呼びます。グーグル社員が開発したGmailの実験的な機能の一部を、私たち一般の利用者も試してみることができるのです(ちなみに、グーグルで試験中のサービスは「Google Labs」に登録されています)。

 英語版のGmailでは昨年6月から公開されており、一度表示を英語に切り替えて機能を有効にすれば、日本語でも試すことができました。すでに使っている人も多いかもしれません。ただ、多くの機能はきちんと「日本語化」されていますが、各機能を選ぶ際の説明は英語表記のままでした。

 それが、3月末に日本語を含む47言語に対応し、表示を切り替えずに機能を有効にできるようになったのです(画面2)。機能の説明文も日本語になりました。日本語版「Labs」の設定ページでは4月6日現在、42の機能が公開されています(画面3)。

 ただし、設定ページにもあるように、Labsの機能は実験的なもので、使用状況によっては正しく動作しないかもしれません。随時変更、中断、公開停止になることもあります。また、対応ブラウザーにも制限があり、ウィンドウズの「インターネット・エクスプローラー」は「7」以上に対応しています。設定画面に「Labs」の項目がなかったり、これまで表示されていた機能がなくなっていたりする場合があります。
 Labsで公開中の機能には、マニアックなもの、お遊び的なものもありますが、中には、「公式の機能にすればいいのに」と思うものも少なくありません。いくつか紹介しておきましょう。順番は、「Labs」の登場順とは異なります。

・送信取り消し

「送信」ボタンを押した直後、約5秒以内なら送信を取り消せるという機能です。書きかけで送信ボタンを押してしまったというような、うっかりミスを減らせます。個人的にはもう5秒ほど余裕が欲しいと思いますが……。

・常に全員に返信

複数のあて先に送られたメールに返信する際、通常の「返信」だと送信者だけにメールが返信されますが、この機能を有効にすると、ほかの人もあて先に含む「全員に返信」が標準になります。

・添付忘れチェッカー

ファイルの添付忘れを防ぎます。日本語の場合、本文中に「添付」の語があるのにファイルを添付していないとメッセージを表示して教えてくれます。残念ながら、「添付」と書いていないメールはチェックしてくれません。

・検索のオートコンプリート

メール画面の検索ボックスに文字を入れると、その文字を含む連絡先や、特殊な構文(演算子)の候補を出して、メール検索をサポートしてくれます。

・カスタムキーボードショートカット

「設定」ページに項目が追加され、Gmailのキー操作の割り当てを変更できます。

・マウスジェスチャー

マウスの右ボタンを押しながら、右にドラッグで「次のスレッド」、左にドラッグで「前のスレッド」、上にドラッグで「受信トレイ」を表示します。

・固定幅フォント

表示中のメールの右肩に表示される「返信▼」メニューに「固定幅フォントで表示する」の項目を追加します。文字で書いたイラスト(アスキーアート)や表を、ゆがみなく表示できます。

・ToDoリスト(Tasks)

Gmailの画面で、「ToDoリスト」を作って管理できます。メールの表示中「その他の操作▼」から「ToDoリストに追加」を選ぶと、そのメールをToDo項目に追加することもできます。メールで用事を頼まれることが多い人には便利な機能です。ただし、なぜか表示を英語にしないと一覧に表示されません(英語表記は「Tasks」)。一度有効にすれば、日本語表示に戻しても使えます。

 このほか、モバイルユーザー待望のオフライン機能など、Gmailのヘビーユーザーにうれしい機能はまだまだあります。でも、前ページでも触れたように、使用している環境によっては正しく動作しなかったり、動作が不安定になったりすることがあります。その点は理解の上、いろいろ試してみてください
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