国立の東京工業高等専門学校(八王子市椚田町、水谷惟恭校長)は4月から、多摩地区の優秀なエンジニアを講師に招き、同校の設備や機材を活用して技 術力を高めてもらう講座を企画した。対象は、技術者不足に悩む地元の中小企業。講座の名称は「匠塾」で、5日に同校で「開塾式」が行われ、7人の侍がそ ろった。
開講のきっかけは、同校が一昨年に八王子市と協力して実施した市内の製造業者への調査で、多くの中小企業が「機械系」「電気・電子系」の技術者不足に悩んでいたことだ。周辺地域の企業や住民への認知度が高くないことから、一肌脱ごうと企画した。
講座は機械系が3、電気・電子系が4。「機械製図」の講師は、機械部品の加工技術の第一人者で、2005年に経産省などが主催する「ものづくり日本大賞」で優秀賞に輝いた「セキコーポレーション」(八王子市)取締役の伊藤國吉さん(60)。
また、「デジタル信号処理技術」は「日立電子アメリカ(現・日立国際電気アメリカ)」会長などを歴任した工学博士の江藤良純さん(66)、「デジタル回路技術」は久留米工業大名誉教授の谷口研二さん(74)が担当する。2人とも日立製作所の元社員。
伊藤さんは「日本は技術者の地位がまだ低い。匠塾の開催が、技術者の社会的地位の向上にもつながってほしい」と期待する。
江藤さんは「よそにない特長のある製品を作ることが会社の発展には重要。そのために必要な『自分で考える力』をつけさせたい」と抱負を語る。
同校によると、中小企業では熟練した技術者が多忙で、自社の後輩に技術を教える時間が取れないケースが多い。また、最近は先輩の優れた技術を「盗む」ことをせず、誰かに指導されないと学ばない若者気質もあるという。
機械系の3講座(受講料2~4万円)は4月9日~5月7日の全4回(計16時間)、電気・電子系の4講座(同8万円)は、4月9日~8月6日の全16回(計64時間)を予定している。
各講座の定員は12~30人。希望者は、事務局の同校企画室に申込書をファクスする。締め切りは今月27日。申込書は八王子市と神奈川県相模原市の市役所や商工会議所、多摩信用金庫本支店窓口で配布している。問い合わせは事務局((電)042・668・5116)へ。
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