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◆失業者の能力開発担う職業訓練メニューは。
◇企業実習を採用 座学と並行、現場重視--多彩なコースで就職率高く
不況で企業の人員削減に歯止めがかからず、増加する失業者への再就職支援が急務になっている。新たな職探しに向けた能力開発を担う公共職業訓練の重要性が増している。
職業訓練を特に必要としているのは企業内の人材育成の機会に恵まれないことの多い、派遣などの非正規労働者だ。独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の小杉礼子研究員は「雇用政策が非正規を増やす方向に転換されながら、非正規向けの職業能力開発は置き去りにされてきた」と話す。
正社員中心の日本型雇用システムでは、企業が新卒で採用した社員を一から教育してきた。派遣法改正で非正規雇用は急増したが、職能開発の分野は対応が遅れている。小杉さんは「仕事が途切れる可能性が高い非正規こそ厚い保護が必要なはず。セーフティーネットとして公共職業訓練を充実させることが不可欠」と強調する。
東京都内の40代の男性は昨年9月、勤務先でリストラに遭った。事務畑を歩んできたが「このまま他の会社に就職してもまた同じことになる」と思い、求職活動と並行して職業訓練を受けることにした。現在、都内の施設でパソコン技術や人事管理などを学ぶ6カ月間コースを受講中だ。約10社に応募し、今月、都内の会社に事務職の正社員として内定が決まった。「職業訓練を受けたことが、前向きな姿勢として評価してもらえたのでは」と話す。
この男性は再就職に成功したが、現行の職業訓練には「座学中心で現場で役に立たない」との批判もある。より実践的な技能、知識を身につけるため04年度から始まったのが、企業での実習と訓練機関での座学を並行的に実施する「日本版デュアルシステム」だ。ドイツの制度をモデルにし、訓練を実施した企業での採用に結びつく効果も期待されている。
失業者を対象にしたものでは、独立行政法人「雇用・能力開発機構」が実施する機械や金属加工などものづくり中心の166コースと、民間の専門学校などに委託した事務系や介護などの1703コースがある。
機構実施分は6カ月の訓練期間のうち1カ月半が企業実習。07年度で1560人が受講し、就職率は87・5%。民間委託は、受講者が2万7219人。4カ月の期間内の1~3カ月を企業実習に充てている。就職率は76・9%だった。いずれも通常の訓練より高い就職率だ。
このシステムについて日米の職業訓練に詳しい平沼高・明治大教授は「方向性はいいが、企業実習が短過ぎる。最低でも6カ月やらないと身についたものにならない」と拡充を求めている。また、平沼教授は「不景気の今こそ、産業構造の展望を政府が示し、必要な能力、人材を育てる職業訓練メニューを作らなければいけない」と指摘する。【小林多美子】
◇ものづくり訓練は3カ月~1年
公共職業訓練は、ハローワークの求職者を対象にした離職者訓練と、職業能力開発大学校など中高卒者を対象にした学卒者訓練、在職者訓練の3種類がある。
独立行政法人「雇用・能力開発機構」と都道府県が実施しており、訓練期間は3カ月~1年程度。同機構は機械加工技術などものづくりが中心で、都道府県は情報ビジネスや介護サービス、地場産業などがメーンだ。OA事務などは専門学校などへの民間委託が増えている。ハローワークで求職申し込みをすると、必要に応じて受講をあっせんしてもらえる。雇用保険が財源のため保険未加入者は原則利用できなかったが、07年の雇用保険法改正で利用できるようになった。テキスト代などは実費だが、受講無料。
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2009-02-23
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