:::引用:::
「自分に足りなかったスキル(技術)と知識が身に付いた」
横浜市旭区の雇用・能力開発機構神奈川センターで、電子機器や車の部品をパソコンで設計する技能を学ぶ横浜市の男性(27)は自信ありげに話す。
同センターでは、十-六十代の男女約五百七十人が訓練を受けている。半年の期間で、早期就職につながる実践力を習得する。
家電製品の試作品を作る中小企業の正社員だった男性は昨年九月、受注が減ってリストラを始めた会社の先行きを不安視し、会社を辞めた。ハローワークで職探しすると、入りたいと思った会社の求人票には「即戦力」「知識と技術が必要」の条件があった。「自分にはこれといったスキルがない」。力不足を笑われているように感じた。
「一生ものの技術を得たい」と昨年十月から同センターに通い、「製図と設計を基礎から学べて、使える機器も増えた。将来に不安はない」と言い切る。
子どもを保育園に預けて学ぶ横浜市の福場好枝さん(37)は「子ども二人に働く姿を見せたい」と受講動機を語る。金型加工技術を学ぶが、高度な内容の講義についていくのが精いっぱい。それでも「スキルをものにすれば、得意な英語も生きてくる」と自らを奮い立たせる。技術の知識を生かし、海外との橋渡し役になれる正社員を目指す。
ものづくり系訓練が中心の同センター。製造業不振は訓練生に微妙な影を落としている。溶接を学ぶ川崎市の関島圭介さん(28)もスキル向上の手応えは感じながらも、「正社員になれる就職先が見つかるか不安」とこぼす。
◇
離職者訓練を受けるにはまず最寄りのハローワークで求職を申し込む=図参照。訓練の必要性を認めてもらった上で、受講に必要な基礎知識・学力があるか面接と試験で判定される。
受講時、雇用保険の失業給付を受けていると有利になる。訓練終了(上限二年)まで受給が延長されるからだ。さらに日当五百円と交通費も支給される。
逆に、母子家庭などを除く雇用保険未加入者は受講中の生活費を自ら用意しないといけない。日当、交通費の支給もない。同センター訓練第二課の藤浪栄一課長は「途中で生活資金が尽き、望まないアルバイトに戻る訓練生もいる」と明かす。
「生活費に困っていては訓練に集中できない」と、国も本年度から雇用保険未加入者らを対象に生活費を貸し付ける「技能者育成資金制度」を開始。一月から貸付額を五億円増額し、対象者を広げた。
貸付額は最大月十万円(扶養家族がいる場合十二万円)。訓練修了から半年以内に就職すれば返済が免除される。半年以内に就職できなかった場合も、期間中熱心に求職活動していれば八割が免除される。ただし前年度の年収二百万円以下▽訓練期間中のアルバイト禁止▽連帯保証人一人-などの条件を満たさないと貸し付けてもらえない。
一方で、家賃と生活費を十万円で賄うのは難しいとの声もある。立教大学大学院の小島貴子准教授(職業指導学)は「訓練と両立できるなら、アルバイトなど副業を認めるべきだ」と訴える。同制度の厳しい条件に批判的だ。
また「労働政策研究・研修機構」人材育成部門アドバイザリー・リサーチャーの稲川文夫さんは、雇用保険で守られていない労働者が多い現状を懸念し、「すべての労働者が雇用保険に強制加入される仕組みにしない限り、根本的な問題の解決にならない」と指摘。失業中の生活の保障が、効果的な職業訓練に不可欠としている。 (服部利崇)
●●コメント●●
2009-02-17
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿