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長野県飯田市のNPO法人「ふるさと南信州緑の基金」が、カンボジアのシエムレアプに建設支援を進めてきた小学校が完成した。戦争の傷跡深く残るこの国では、日本人が設立したNGOが伝統織物を中心に自立した生活を人々に取り戻す「伝統の森」プロジェクトを進めている。「飯田学校」と名付けられた教育機関は、「教育が未来へのかぎを握る」と考える関係者にとって希望の光となる。(高砂利章)
きっかけは、同基金の伊澤宏爾理事(飯田市教育長)=(67)=が、世界遺産「アンコールワット遺跡」知られるシェムレアプを拠点とするNGO「クメール伝統織物研究所」の森本喜久男代表=京都府出身=と知り合ったことから。戦禍で途絶えかけたカンボジアの絹織物復興に取り組むと同時に、この国の未来まで見据える森本代表の活動に伊澤理事が感銘を受けた。
同NGOでは、住民がそこで生活し、絹織物の原料生産から製造までを手掛け、自然と共生しながら自立した生活を送る「伝統の森」を再生するプロジェクトを進めているが、伊澤理事は自身が40年近く教員だったこともあり、「この国の子供たちが安心して学べる場所を」と、その一角に建てられる小学校への建設資金支援を約束した。
募金の呼びかけは6年前から始まり、他にも父親が飯田市出身のピアニスト竹内英仁さん=チェコ・プラハ在住=によるチャリティーコンサートなどで、集まった金額は400万円を超えた。校舎のほうも、教室と職員室を備えた木造平屋の校舎一棟が完成。同基金が毎年行っているカンボジアへのスタディツアーが現地を訪れるのに合わせ、今月5日開校式が行われた。
森本代表は「カンボジアの再生に教育は不可欠。子供たちの義務教育や職業教育以外に、戦争のため学ぶチャンスを失った大人のための社会教育も取り入れていきたい」とあいさつした。
伝統の森に住む子供たち約30人のほか、これまで近くに学校がなかった地域の子供たち約20人が通う飯田学校は、今後、公立学校として認定される見通しで、同国の王族も視察するという。伊澤理事も「カンボジアの子供たちの笑顔や目の輝きに感銘を受け、何とか教育条件を良くしてあげたいと始めたが、継続することの大切さを実感した」と感慨を語った。
また今回のツアー参加者の1人で、長野市出身の日本語教師、峯村みゆきさん(35)は現地に残り、同校で日本語や英語、音楽などの教師としてそのまま赴任。「日本とは大きく教育システムは違うが、グローバルな時代に即した内容で、日本的な感覚も取り入れた教育展開を考えています」と意欲をみせた。
校舎はさらに拡張を進め、最終的には6棟ほどになる予定で、今回のツアー参加者16人は式典後、建設中の建物のレンガ積み作業を手伝った。資金としてもさらにあと100万円ほど必要となることから、同基金では引き続き、チャリティーコンサートや募金活動を行う予定にしている。問い合わせは同基金事務局(電)0265・22・4608。
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2009-02-20
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