2009-02-16

外国人研修生の待遇改善、最低賃金など保障 法務省方針

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 低賃金労働の温床との批判が根強い「外国人研修・技能実習制度」をめぐり、最低賃金法や労働基準法の適用拡大で研修生を保護する制度改正を法務省が検討していることがわかった。「就労研修」という在留資格を創設し、入国後早期に労働法令適用の対象にすることが柱で、今国会に提出予定の入管法改正案に盛り込む方針だ。

 現在は1年目の在留資格「研修」では労働法令が適用されず、技能実習(2、3年目)から適用される。改正案では1年目の在留資格を「就労研修」とし、2カ月の座学の後は労働法令を適用する。

 研修・技能実習制度は、発展途上国に日本の技術を移転することが本来の目的だが、安価な単純労働力として利用されているとの批判が多い。

 特に、研修手当が月6万~7万円程度で時間外や休日の研修は禁止されている1年目の研修生が、長時間の「残業」を強いられるケースも少なくないと指摘されてきた。改正案では、研修生にも最低賃金や残業代を保障することで、待遇改善を図る。

 中小企業団体など受け入れ団体を通じて研修生を受け入れている企業への罰則も強化する。関係省令の改正で、賃金不払いや旅券取り上げなど重大な不正行為をすれば、5年(現行は3年)新規受け入れを認めない。受け入れ団体に対しても、月1回は企業を訪れて研修状況を確認させるなど、指導を強化する。

 この制度に関して、単純労働力の受け入れに消極的な厚生労働省は3年間の実習に一本化し、高度な技能検定を義務づけるなど、実習としての実効性を確保する改革案を公表している。一方、長勢甚遠元法相が座長の自民党プロジェクトチームは昨年7月、現行制度を廃止し、最長3年の「短期就労」を認める制度を提言。労働者としての受け入れ促進と権利保護を図る考えを示している。 法務省の改正案は、研修・実習の建前は残したまま労働者としても保護する最低限の措置だ。ただ、与党内には異論も残り、来月予定の法案提出に向け調整が続いている。

 研修・技能実習生への残業代不払いや最低賃金未満で働かせるなどの不正行為は、各地で多発している。

 昨年11月には、長崎県の青果卸売会社が中国人実習生7人に最低賃金を下回る賃金しか支払わなかったとして、最低賃金法違反などの容疑で書類送検された。労働法令違反で指導を受けた事業場は、03年の412カ所から06年1209カ所、07年1907カ所と急増している。(生田大介)
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