7208人――。県教委が各市町の年度別・年齢別の児童・生徒数をもとに推計した2022年3月の県内の中学卒業者数の推計値だ。8378人だった 08年と比べて1200人近くも減ることになる。だが、08年でさえ、ピークだった1989年の1万3483人から5105人も少ない。歯止めのかからな い少子化に対処すべく、県教委は約20年堅持してきた県立高校の全日制30校体制(分校も含む)の再編に本格的に乗り出した。
県内で最も生徒数減が進む奥越地区の県立大野東高校(大野市友江)。生徒が使う靴箱には空きが目立つ。08年度の生徒数は345人で、04年度と比べると約80人減った。機械システムなど4学科のうち、08年度は1学科が定員割れした。
生徒減を端緒に、様々な問題も生じている。
学校ごとの教師の配置は生徒数に応じて決まるため、同校では04年度以降、教師が1人ずつ減っている。しかし学科数は変更できないので、生徒が 減ってもクラス数はそのまま。このため、削減する教師の担当は専門性の強い職業系科目ではなく、国語や数学といった普通科目にせざるを得ない。非常勤講師 などでしのいでいるが、松村裕一校長(60)は「ギリギリの状態だ」とため息をつく。
多くの職業系高校と同じく、授業内容と進路が合わない“ミスマッチ”にも悩まされている。松村校長は「生徒の志向が変わり、本校でも生徒の約4割 は就職ではなく進学希望だ。だからこそ普通科の指導に力を入れないといけないのに、教師が減ってしまっては対応が難しい」と訴える。
こうした現状や課題をふまえ、県教委は07年末に「県高等学校教育問題協議会」を設置して将来の方向性を検討。08年10月には、職業系のミス マッチ解消のために複数学科を備えた「総合産業高校」の設置、定時制での単位制導入などの答申があった。これをもとに「新しい県立高校のあり方検討会」を 発足させ、再編計画案作りに着手。08年度内には、県内各地域における再編の将来見通しを示すほか、早急に対応が必要な奥越に関しては、現在の4校を3校 にする方向で実施計画をまとめる予定で、早ければ10年度にも実施する。
県教育政策課の山内和芳課長(52)は「これまでは地元の存続要望が強くて進まなかったが、今回、再編は避けられないという総論の合意はできた。今後は地元に説明し、各論の調整をしたい」と語る。
一方、県内の私立高校も、少子化の中で生き残るために、独自色を打ち出そうと躍起だ。県内は都市部と異なり、“私立志向”が低い。危機感を強める 県内私立6校は07年度から合同で「学校評価事業」を始めた。授業内容や学校設備などについて生徒や保護者、教職員らにアンケートを実施。有識者による学 校評価実行委員会が調査結果を検討し、08年度内に私立高の将来像や改善策などをまとめる。
全国的にも珍しい取り組みで、県私立中学高等学校協会の松田三平事務局長(61)は「学校運営の足腰を強めるのが狙い。私立は公立と違ってフットワークが軽く、小回りも利く。委員会の見解を素早く学校改革へ反映させていきたい」と意気込んでいる。
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