「事務系」「正社員」こだわらないで
厳しい雇用情勢の中で職を探すには、求人情報に賢く目を通すことが大事だ。
転職や再就職を希望する女性は「事務系」といった条件にこだわり過ぎて“掘り出し物”の求人に気づかないケースもある。周りにも協力を頼むなど戦略を練りたい。(大森亜紀)
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神奈川県の女性(39)は昨年、勤めていた医薬品関連会社の業績が悪化、転職先を探した。ハローワークの窓口で、求人票で見つけた学校法人への紹介状を頼んだところ、「ここには、すでに168人が紹介状を申し込んでいます」と告げられた。想像以上の競争率に心がなえた。
希望する職種は「総務や経理などの事務系」の「正社員」。インターネットの求人サイトにも応募したが、ことごとく選考に落ち、面接にすらたどりつけなかった。「覚悟はしていましたが、20社近くに断られると、どうしたら良いかわからなくなりました」
転職や再就職を希望する女性の職探しには、意外な盲点がある。大手人材紹介会社の「パソナキャリア」(東京)で、女性の就労支援に携わるキャリア コンサルタントの内田ひとみさんは「大半が『事務系』の『正社員』を希望します。でも実際は、この形の求人は少なく、倍率が高いのです」。
派遣や契約社員など働き方が多様化し、正社員採用が減った。事務は「経理事務」「総務事務」など細分化し、営業と事務の兼務など、様々な形が登場している。かつての印象で漠然と希望をしぼると、良い求人を見落としがちだ。
内田さんは「求人情報を探す時には、希望にこだわり過ぎず、数多くの情報を見ることが大切。自分の中で、譲れない点、妥協できる点を仕分け、条件緩和も視野に入れて探してみて」と勧める。
そもそも、希望にぴったり合った求人を探すのは難しい。財団法人雇用情報センター(東京)は昨年、49か所の民間人材紹介所にアンケートを実施した。職を探す女性側の条件と企業側の求人情報とのマッチングが「難しい」と答えた事業所は68%に上った。
冒頭の女性も、正社員にこだわらず、周囲に「良さそうな仕事があったら紹介して」と頼んだら、半年後に契約社員の職を得た。
情報検索にもコツがある。いろいろな媒体に目を通すのが基本だ。新聞や折り込みチラシ、フリーペーパーに加え、「ハローワークインターネットサー ビス」(http://www.hellowork.go.jp)などの複数のインターネットの求人情報サイトもチェックする。チラシには自宅周辺の仕事 の掲載が多く、インターネットはサイトごとに強い職種があるなど、それぞれの特徴を知って利用したい。
また、求人要項に職歴や専門的なスキルが必要とあった場合、あきらめてしまう女性も多い。しかし、要項を満たさなくても、人柄で就職につながる ケースもあり、臆せず応募をした方がいい。マザーズハローワーク東京(東京都渋谷区)統括職業指導官の相原貴子さんは「職歴が乏しくても、PTAや地域活 動などにかかわり、コミュニケーション力や人柄が評価されて採用された例もある。柔軟に考えて」とアドバイスしている。
職を探すコツ(内田さんの話を基に)
◆譲れない点を見極める 条件緩和も視野に入れ、勤務時間や賃金など、どこを重視するのかポイントをしぼる。
◆数をこなす 就職は情報戦。たくさんの情報を見ることで、求人動向がわかる。
◆周りに協力を頼む 家族や友人からの口コミでいち早く求人情報をつかめることも。紹介してもらえば書類選考突破の可能性も高くなる。
◆「何となく」はダメ 「3か月で職を探す」「1年かかっても正社員を目指す」など、いつまでにどんな働き方をしたいか、自分なりの職探しのゴールを決める。
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