2008-07-08

志望者少ない日本語教師

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 国内外で日本語を学ぼうとする外国人が増える中、やる気のある日本語教師が数多く求められている。しかし、常勤のポストが少なく、給与も十分ではないため、待遇面の改善が大きな課題になっている。

 先月14日、早稲田大や国際教養大、長崎国際大など日本語教師を養成している12の大学が、東京・丸の内で日本語教師のやりがいをアピールするセミナーを開催した。

 「生徒が日本語で積極的に意見を話せるようになるとうれしくなるし、日本語や日本文化について改めて考えさせられます」

 早大の関連会社「早稲田総研インターナショナル」で、留学生に日本語を教えている坂田麗子さん(28)が話し始めると、集まった約150人の高校生や大学生は熱い視線を送っていた。

 こうした合同セミナーが開かれるのは極めて異例。その背景には、日本語教師の志望者不足がある。

 国際交流基金と文化庁の調査によると、1993年に101の国と地域で162万人だった海外の日本語学習者は、2006年には133の国と地域で298万人にまで増加した。国内の外国人学習者も95年の8万5000人から05年には13万6000人に伸びた。

 これに対し、日本語教師の志望者が受ける「日本語教育能力検定試験」の受験者は04年度の8401人から07年度は5837人にまで減少している。

 志望者が増えないのは労働環境が厳しいため。国内の日本語教師約3万人のうち、常勤職は約13%だけで、身分が不安定な非常勤職が約36%、残る約半数はボランティアだ。

 出版社「アルク」が昨年、360人を対象に実施したアンケートでも常勤職の平均月収は手取りで約21万円で、非常勤の時給平均は約1900円。「社会的地位の向上が求められる」といった声も寄せられた。

 日本語教育学会長で名古屋外国語大の尾崎明人教授は「日本語は誰でも教えられるという誤解があるため教師の待遇が改善されず、優秀な人材も育っていない。社会全体で日本語教師の役割を適正に評価することが求められている」と訴えている。(渡辺光彦)


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