2008-07-25

人材派遣に個性の時代 モデルやCAに英会話、簿記で“武装”

:::引用:::
モデルやキャビンアテンダント(CA)経験者に英会話や簿記を学ばせ、企業に供給する人材派遣会社が登場した。派遣業 界は不況の影響で業績が伸び悩んでいる。一方、20代後半から30代に入り、徐々に活躍の場が少なくなってきたモデルらには、新たな雇用の場となる。華や かさと実務能力を兼ね備えた「個性派ハケン」は派遣業界の起爆剤となるか-。(昌林龍一)

■苦しい業界

 「平成15年ごろから派遣会社登録者数が横ばいになり、グッドウィルが内部不正で廃業に追い込まれるなど、人材派遣業界は淘汰(とうた)と競争が激化している」

 河辺彰男・日本人材派遣協会事務局次長は、派遣業界の現状を指摘する。

 激しい競争をくぐり抜けるため、人材派遣・教育事業会社「WELLCOM」(本社・東京)は登録したモデルやCAを派遣社員として企業に供給することにした。パソコン、英会話、ビジネスマナーの習得と、秘書検定2級、簿記3級などの取得を目指し講習会を実施する。

 3カ月後、学習状況や検定取得の有無により、同社が考案した「Bishoku(美職)検定」(1、2、3級)と呼ぶテストを実施、企業の求める水準に合わせて各検定の合格者を派遣する。

 今年3月20日から募集を開始し、7月までに約400人が登録、3割がモデル経験者で1割がCA経験者だった。受講者の7割が美職検定を突破、7月現在40社に50人を派遣した。

 「営業事務に投入したところ、華やかなイメージが幸いして営業部の売り上げが良くなった」(同社広報)


■イメージアップ

 「同級生のモデルの友人と会った際、『若いモデルは脚が長く、20代半ばを過ぎれば、新たな選択肢も考えなければ ならない』といわれた。転職を考える場合、実務を学ぶ場の需要があると思いました」と、システムを開発した同社の蓑手(みのて)晶子クリエイティブプラン ニング部長(28)は話す。

 企業側が容姿を採用の条件とするのはタブー。このため、派遣を受ける企業側にとっては、モデルやCA経験者という職歴は、「美しく接客も得意だろう」と採用の際、安心感がある。

 ある外資系企業の派遣採用担当者は「同じ能力ならば、受付の場合は容姿のいい方が企業イメージのアップにつながる」と本音を明かす。

■社会構造の変化

  こうした「個性派ハケン」が登場した背景について、消費社会研究家の三浦展(あつし)さん(49)は「景気低迷などで、結婚しても専業主婦でいることを認 めてくれる男性が少なくなってきていることを、モデルたちは感じている。しかし、企業勤めの経験のない彼女たちには資格を取る必要がある。CAも昔より給 与水準が下がり、一般企業への就職を考える人も増えた」と分析する。

 2007年版女性労働白書によると、女性雇用者に占める正社員の割合 は5割を切っている。「企業側にとっても、現代はイメージがものをいうプレゼンテーション社会。華やかな派遣社員を採用したいだろう」と、三浦さんはこう した「個性派ハケン」が今後増えると予測している。

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