【シンガポール=吉枝道生、福田要】北朝鮮が24日、東南アジア友好協力条約(TAC)に署名したことで、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟 国との関係強化が見込まれる。特に、北朝鮮の朴宜春(パクウィチュン)外相は25日からベトナムを訪問。ベトナムにとっても、北朝鮮との密接なかかわりを アピールすることで国際政治の舞台での発言力拡大につながりそうだ。
「ASEAN諸国との親善関係、友情をより強化し発展させようという意思表示だ」。北朝鮮のリ・ドンイル外務省国際機構局軍縮課長は調印式の後、こう胸を張った。
議長国シンガポールのヨー外相は「われわれは朝鮮半島問題について主役ではないが、(北朝鮮に)違う道を示すことができる。例えば、経済発展を遂げたベトナムはいい見本だ」と強調した。
昨年10月には、50年ぶりとなるベトナム共産党トップの訪朝が実現。“手土産”としてコメ2000トンの支援が約束されたという。両国間では金正日(キムジョンイル)総書記訪問の準備も進められている。
北朝鮮にとっては、ベトナムはコメ輸出国として魅力的なだけでなく、アジア諸国や国際社会への入り口としても重要。逆にベトナムにとっても、北朝鮮とのパイプが日米両国も含めた国際社会への強い影響力となることが指摘されている。
北朝鮮は昨年4月にミャンマーとも国交を回復し、ASEAN全加盟国と国交を結んでいる。テロ支援国家指定が解除されれば国際金融機関の融資や経済支援への道が開かれ、相互の経済関係も深まる。ASEANの存在感が高まりそうだ。
高村正彦外相は「閉じこもっているより、国際社会に出ていこうとすることは結構」と北朝鮮のTAC加盟を歓迎しつつ「出ていこうとする以上は国際社会のルールを守ってもらいたい」とくぎを刺すのも忘れなかった。
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