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[ロンドン 28日 ロイター] ここ数週間の原油価格の急落は、ヘッジファンドの売りによって増幅されていた可能性がある。ヘッジファンドは特に金相場との比較で、原油が割高と判断したとみられている。
原油価格の下落は、主要国の景気減速に伴って需要が減退するとの見通しを受けた動きと主として解釈されているが、業界専門家らは、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)以外の要因もあると指摘する。
米原油先物が年初から53%上昇して7月にバレル147ドル超の過去最高値をつけるなど、原油は夏場にかけて急伸していたが、金の年初来上昇率は18%にすぎない。また、原油は過去最高値というだけでなく、歴史的基準から見ても非常に割高な水準になっている。
HSBC傘下アブソリュート・リターンズ・サービスのファンドマネジャー、ウィル・バートリート氏は「金と原油には極めて長期にわたる相関関係がある」 と話す。原油10バレルと金1オンスで価格が均衡との見方がその1例だ。3月中旬に金がオンス1030ドル超で最高値を更新し、原油が105ドル前後で取 引されていた時がちょうどそのケースに当たる。2007年末には原油96ドルに対し金は833ドルで、比率は8.7対1だった。
しかし3月以降、金が軟調となり、比較的狭いレンジで取引されていた一方で原油は急騰。その結果、比率は今月一時5.9対1まで縮まっていた。
<原油の売り越し>
ヘッジファンドがこの傾向を認識、もしくは少なくとも、しばらく抱えていた原油のロングポジションを解消する時期が来たと判断したことを示す兆候が存在する。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、7月22日までの1週間にヘッジファンドは原油を売却し、07年2月以来初めて投機的ポジションがネットで売り越しに転じた。
これはソシエテ・ジェネラルによるCFTCデータの最新分析とも一致している。ソシエテはヘッジファンドが6月末に原油の買い持ちを巻き戻し、ニュート ラル(中立)または売り越しに転じたもようだと指摘するとともに、ヘッジファンドが金の積極的な買い手に回っているとの見方を示した。ソシエテによると、 ヘッジファンドの金投資は5月の水準を上回っており、年初から3月までの上昇局面で見られた水準とさほど違わないという。
7月11日に147ドル超の最高値を付けて以来、原油は17%程度下落している。28日には123ドル付近で取引された。
金のスポット価格は7月のピークから約6.5%下落しているが、28日の原油対金の比率は7.5対1と、数週間前に比べれば均衡水準にずっと近づいている。
<ファンダメンタルズ>
原油10バレル=金1オンス均衡説以外にも原油相場を動かす要因は数多くあり、ファンダメンタルズが主要な役割を果たしていることは明らかだ。
米国とユーロ圏の景気減速の兆候は原油需要の鈍化を示唆し、原油を記録的最高値に押し上げていた最大のけん引役が勢いをある程度失っていることを意味する。
インベステック・アセット・マネジメントは最近のリポートで「製品価格の上昇や世界経済の成長減速の結果、国際原油・原油製品の騰勢については引き続き 疑問視されている」と指摘した。インベステックはまた、先進国市場の低迷にもかかわらず、これまでのところまずまず健闘している新興国市場の方向性が、原 油価格下落が続くかどうかを決めるカギになるとみている。
ドル相場の動向も原油の下落に影響を与えそうな別の要因だ。原油が下落すればドルは上昇するといった具合に、ドルは概して原油と逆相関関係にある。
ドルは7月中旬以来、原油の下落を背景に主要通貨バスケットに対して強含んでいる。
原油と金の比率が今10対1であるためには、金がオンス1230ドルとなるか、原油がバレル92ドルまで下落する必要がある。
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2008-07-29
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