昨年4月、仏タイヤメーカー「ミシュラン」の観光ガイドブックで最高の三つ星を得た高尾山(東京都八王子市、標高599メートル)が、外国人客でにぎわっている。観光業界も受け入れ態勢を整え始めており、古くて新しいスポットとして生まれ変わろうとしている。
「東京中心部から約50分。東京から逃げ出したくなったら高尾山へ」。日本を訪れる外国人向けに作ったミシュランの観光ガイドの紹介は、こんな書き出し で始まる。ほかに三つ星に選ばれたのは、京都や日光、富士山など。高尾山は大都市近郊にもかかわらず、大自然に触れられることが高い評価につながった。
高尾山中腹まで運んでくれるケーブルカーを降り、寺院「高尾山薬王院」に続く道を登ってみる。リュックを背負った欧米人とすれ違った。
アイスを食べながら登山道を下ってきた留学生のスイス人女性(23)らに話しかけると三つ星獲得を知っていた。30代のフランス人カップルは「都心の近くにこんな自然があるなんてすばらしい」。
外国人が増えたという正確な統計はないが、国土交通省が3月9日にあった薬王院の行事「大火渡り祭」で調査したところ、700人近い外国人が訪れ、8割が欧米人だったという。登山口近くの飲食店は「昨年の秋ごろから増えてきた」と話す。
こうした状況を背景に、高尾山口駅まで電車を走らせる京王電鉄は昨年12月、ホームページに仏語の高尾山観光案内の掲載を始めた。登山口にある老 舗(しにせ)そば屋「高橋家」は4カ国語と写真付きのメニューの準備を進めている。八王子市観光協会も市の観光ガイドの英語版を作製中という。
日本人客も増加中だ。京王電鉄や高尾山商店会によると、高尾山口駅を07年度に行楽目的で利用した人は約110万人。90年代に一時70万人台まで減ったが、商店会が00年に「若葉まつり」などのイベントを始め、06年度は約96万人になっていた。
ミシュランの三つ星は、上昇気流だった高尾山観光を強力に後押しした形だ。八王子市観光課は「三つ星を獲得してから、いろいろなメディアで取り上げられた。その結果、中高年だけでなく、外国人や若い人も多く訪れるようになった」と分析する。●●コメント●●
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