第1志望は東大よりハーバード-。世界トップ大学への進学を目指す高校生を対象に5月から始まった進学塾 「Route H」(東京都千代田区)。日本から海外の大学・大学院などに留学する学生は年々増え8万人を超すが、ハーバード大に留学する国内の学生は学 部レベルではまだ年間数人だ。経験者は海外トップ大への進学は、研究や進路選択にプラスになると強調している。(小田博士)
「What classes are you taking next semester?(新学期はどの授業を取りますか)」…。
週2回、150分ずつ行われる英語の授業。講師がCDを流すと、希望者15人のなかから選抜された高校2年男子(17)と3年女子(18)の2人は、スラスラと復唱しはじめた。通常の1・3倍に速度を上げて、ヒアリング力を鍛える。
ディスカッションやプレゼンテーションも取り入れているが日本語は禁止だ。
同塾によると、米国のトップ大学に出願できるのは、(1)高校の成績が平均4・5以上(5段階)(2)大学進学適性試験「SAT」の得点率9割以上(3) 英語能力試験「TOEFL」の得点率9割以上-などをクリアした生徒。さらに、志望動機や自己PRに関するエッセーが課され、課外活動も重視される。
英語ができることは前提に過ぎないため、同塾ではSAT対策やエッセー、リポート作成なども別途、集中的に指導していく考えだ。
同塾を運営する通信教育最大手のベネッセコーポレーション(本社・岡山市)によると、東大などの難関大志望者を対象とした模擬試験で、進学希望先 リストにハーバードやスタンフォードなどの海外7大学を加えたところ、5%前後が第1志望に選び、「需要はあると確信した」という。
男子生徒は「将来は医師か法曹関係の仕事につきたいが、まだ定まっていない。日本のように学部・学科単位の募集ではない海外の大学の方が、進路を考える猶予期間があってよい」。女子生徒は「可能な限りレベルが高い大学を狙いたい」と意欲を燃やす。
国内の全国高校化学グランプリで優秀賞を受賞。ハーバード大の物理数学科を卒業し、今年9月から同大の博士課程に進む北川拓也氏(23)はハーバード大へ 進学した理由を「サミットでも日本の首相は目立たないように、世界で活躍するリーダーが育たない教育環境に疑問を抱いた。そして東大から海外の大学へ志望 を変更した」と振り返る。
4年間過ごした経験から海外留学の意義を「ハーバード大の良さは学問の研究が一流であること。また、学生のパワーも違う。学生が5時間勉強するのは当たり前だが、社交パーティーなどの人脈づくりも盛んだ。得るものは大きい」と力説する。
「東大よりハーバードに行こう!?」の著書があり、同塾の運営に携わる森田正康京都情報大学院大教授(32)は「世界的にボーダーレス社会になっている。 海外の大学が良くて日本が悪いとは思わないが、選択肢が多いほど将来が広がる。『私も海外に行ける』と気軽にチャレンジする生徒が増えればよい」と話す。【メモ】ハーバード大
マサチューセッツ州ボストン近郊にある米国の私立難関大8校で構成されるアイビーリーグの1校。ノーベル賞受賞者を多数輩出し、英国『タイムズ』誌の「世 界大学ランキング2007」では、生命科学や社会科学分野などが満点で総合でも1位だった。ビジネススクール(経営大学院)も有名。学費は高額だったが今 年度から値下げ。年収18万ドル(約2000万円)までの家庭は最大で年収の1割に抑えた。
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1 件のコメント:
希望を抱かせるのは教育の重要な役割です。しかし、幻想を吹き込むのは罪悪です。
万一、ベネッセが、「客観的に見て合格の要件を備えていないと思われる人間」に対して、「努力すればハーバードに受かる」のだと幻想を吹き込んでいるのだとしたら、その行為は罪悪です。
リーダーシップがない人間、あるいは、突出した才能がない人間、とハーバードのAdmissionに判断されたら、決して合格はできない、と言われています。その点、2名の受講者は承知しているのでしょうか?
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