2008-06-25

外国人の就労条件緩和が裏目に

:::引用:::
韓国内に住む外国人のうち、もっとも多いのは中国人だ。中国人といっても漢族ではない。圧倒的に多いのは、中国東北部出身の朝鮮族だ。韓国語(朝鮮 語)を話し、朝鮮民族の慣習や文化にも通じた朝鮮族は、「中国同胞」と呼ばれる。中国籍ではあるが、「韓国系」ということで、韓国人は比較的親近感を覚え ているようだ。

 韓国に渡ってくる朝鮮族は、年々急激な上昇曲線を描いている。特に昨年3月、韓国政府が韓国系外国人を対象に「訪問就労ビザ」(H―2)を新設してからだ。
 「単純労働」を含め、外国人の就労条件を大幅に緩和したといえるH―2ビザ制度は、人手不足に悩む中小企業と、就職に悩む外国人労働者にとって、朗報だったに違いない。
 だが、来韓する朝鮮族の支援団体「中国同胞タウンセンター」の関係者は、ソウル市九老区加里峰洞の事務所で頭を抱えていた。今年1月、高速道路のサービ スエリアに就業を斡旋した朝鮮族3人が「仕事がきつい」と、突然仕事を辞めてしまったからだ。
 「就業活動が自由になったことで、気に入らない仕事はすぐ辞めてしまう人が少なくない」
 外国人の就労条件が緩和されたことで、朝鮮族などがよりよい待遇を求め、3K職種を忌避する現象が起きているのだ。
 法務部の発表によると、今年3月末の時点でH―2ビザを取得した韓国系外国人は28万2411人。1カ月平均1万2000人が韓国にやってくる。
 建設現場や貨物の物流センターなどでは「韓国人半分、外国同胞(韓国系外国人)半分」という認識が広まりつつある。飲食店では、従業員全員が朝鮮族女性 という店も珍しくない。最近ソウル市内ではタクシーを運転する韓国系外国人の姿もみられるようになった。ソウル市タクシー運送事業組合によれば約30人の 朝鮮族が乗務員として登録されている。
 加里峰洞で中華料理店を経営する女性(38)は「朝鮮族が増え、このあたりの建物は空室がない。最近では自動車を所有する人も目立ちはじめた」と、街の 変化に驚きを隠せない様子だ。だが、外国人の雇用緩和政策は、韓国人と外国人が仕事を奪い合う構図を作りつつある。
 韓国の労動市場に韓国系外国人が増えたことで、韓国人の失業が深刻になったと指摘する声は少なくない。主な原因は、景気の悪化と3K職種を敬遠する韓国 人の職業観にあるのは間違いないが、外国人への雇用緩和政策も一因だとの見方も芽生えつつある。
 民間の専門家らは、人材が不足する業種に朝鮮族を就業させ、雇用問題で内国人(韓国人)との衝突が起きないように配慮すべきだと指摘している。
 法務部関係者は「人不足が深刻な業種に就職する韓国系外国人には、家族のよびよせを優遇するなどの奨励策を検討中」と明らかにした。
 韓国の雇用市場に新たな風を吹き込むはずだった外国人雇用緩和政策は、新たな悩みを作り出しているようだ。


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