:::引用:::
「今度入社してきた外国人社員向けの教育で悩んでいます。なにかよい研修はないでしょうか」
外国人社員を初めて受け入れる、または今まで受入実績はあるけれども最近数が急増したというような企業からこのような相談を受けます。外国人社員向けの教育研修では一口で「外国人社員」と片付けずに、まずは誰に教えるかを整理してみると以下に3分類できます。
(1)新入社員
(2)中途社員
(3)在職中の社員
それでは個別に見てみましょう。
■外国人新入社員の乗り越えるべき「2つの壁」
まずは(1)の新入社員はどうでしょう。新入社員の場合は日本人・外国人問わずだれであっても、「学生が社会人になる」という壁を乗り越えなければなり ません。そのために、本人の努力のみならず採用企業側もいろいろな導入研修をおこなっているのです。外国人の場合は日本人新入社員向けの普通の教育に加 え、「海外から日本へ」という2つ目の壁が存在します。この2つ目の壁を乗り越えるために各社はコミュニケーション研修のような基礎的な内容から業界の特 徴を踏まえたものまで、外国人社員受入用の導入研修を行っているのです。
■在職中の社員には研修だけでなく、育成計画を
(2)の中途社員の場合についてはもともとある程度経験があることを前提としているので、一通り会社案内・部署紹介や社内の手続きなどオリエンテーショ ン以外に、特に手厚くおこなっているところはないようです。そもそも中途社員を採用するのは「即戦力を採用する」という趣旨の会社が多いので当然といえば 当然といえます。
では、(3)の在職中の社員についてはどうでしょうか。この場合、フォローアップ研修は必要ですが、新入社員のように座学で何かを教え込む、というよりは職場における育成計画を策定し、運用・共有していくことが大切になります。
この育成計画で「あるべき姿をどうするか」「いつまでに、何をするか」といったものを上司・部下で共有することが大切です。「上司の背中を見て学べ」が 通用しづらい外国人社員とのコミュニケーションツールがこの育成計画なのであり、上司と部下、日本人社員と外国人社員の間で共通の尺度になる「ものさし」 となるのです。
■研修実施時期にも注意
上記ご紹介した外国人社員向けの研修ですが、「とにかく研修を行えばよい」と いうものではありません。研修とは薬と同じで、「適切な時期に」「適切な量を」処方することが大切だからです。逆をいえば、時期を見誤る、内容や回数など を見誤った研修は組織にダメージを与えかねません。そのために企業の人材開発部や当社のようなグローバル採用に特化した人事コンサルティング会社が、いわ ば「医師」としての診断=見極めを行うのです。
とはいうものの、近くに専門家がいないかたもいらっしゃるでしょうからあくまで一般論としての基本的な考え方をご紹介すると、ひとつには職場適応の「時間軸」がポイントになってきます。新入社員が職場に馴染むにはいくつかの段階があり、
(1)新しい環境を新鮮に感じるハネムーン期(2カ月目くらまで)
(2)母国との違いばかり目に付いてしまうカルチャーショック期(2カ月から半年くらいまで)
(3)その職場で仕事を進めていくためにはどのような振る舞い・行動が必要か客観的な理解が進む適応期(半年から2年くらいまで)
(4)メンタル面で安定してくる成熟期(2年目以降)
などがありますので、まずはこれら時間軸を踏まえて研修実施時期と内容を考えるヒントとしていただければと思います。(執筆者:小平達也・株式会社ジェイエーエス代表取締役社長)
●●コメント●●
2008-06-13
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿