◇実習生ら、心にも痛手負う
県内で不当労働の被害に遭った外国人研修・実習生を手助けしようと「普通のおばちゃん」たちが立ち上がった。熊本市の支援団体「くまもとレインボープロジェクト」のメンバーの主婦たちだ。時に我が子と姿を重ね、実習生の心の傷にまで寄り添っている。
この団体は昨年6月、代表の女性(51)が友人の主婦数人に声をかけて発足した。女性は過去の勤務先で実習生の不当労働を目の当たりにしていたが、他のメンバーにはなじみのない世界。過酷な現実に「ありえない」と驚くばかりだった。
「これじゃ死んじゃうよ」。メンバーの一人はつぶやいた。昨夏に相談を受けた玉名市の縫製会社の実習生は、残業が月200時間に及び、3カ月間休 みがないこともあった。メンバーの仕事は被害の聞き取りと資料作成。代表は「資料を示せば労働基準監督署の対応も素早くなる。救えるかは私たちの手にか かっている」と話す。
実習生らは心にも深い痛手を負っている。別の紡績工場ではトイレットペーパーがなくなると、日本人従業員が中国人実習生の寮まで探しに来たとい う。ある実習生は「泥棒なんかしない。ちゃんと働き、生活もできる。貧乏人扱いしないで」と怒りをあらわにした。代表の女性は「見下されることは過酷労働 と同じぐらいつらい」と心情を代弁した。
悪いのは企業や農家だけではない。「監督すべき受け入れ団体や中国の送り出し機関の責任も重い」(40歳代の主婦)。メンバーは理念と実態が解離した制度自体に疑問を感じるようになった。
実習生の多くは20歳代の女性。同世代の子を持つ主婦は涙ぐむ。「女の子ば3年間も海外に出して親はどぎゃん思いだろうか……。本当にかわいそうよ」
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