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11月19日のチャイナネットの「河南大学の学生が『饅頭宣言』、食べ物を大切に」という興味深い記事を拝見しました。食べ物を大切にしようという取り組みは大変重要だと思います。
食べ物が無駄にされるのは、製造・流通・消費の各段階において「食料ロス(食料廃棄)」が発生していることがあります。たとえば、食品製造者が食品を製 造しても市場で売れないと判断して廃棄する場合もあれば、流通段階での売れ残り、飲食店や家庭における調理ロスや食べ残しといったものです。
日本全体では、食料廃棄量は約2千万トンと見積もられています。そのうち大体半分が食品産業(食品製造者、卸売り・小売、外食産業)から、残り半分が家庭から出ていると見積もられています。
私の娘は大学生で、コーヒーショップでアルバイトをしていますが、毎日、その日に作ったサンドイッチなどを夜、営業時間が終わってから、捨てているそう です。サンドイッチが余ってもかまわないので、その日にたくさん作っておくのは、お客さんがたくさん来る場合に備えてということで、そのようにしたほう が、多少余って捨てることになっても、営業利益があがるだろうというのがコーヒーショップの判断のようです。
家では娘とよく「もった いないね」と話しています。「もったいない」というのは、中国語では「可惜」「浪費」といった訳があてられますが、日本ではよく使う言葉です。ワンガリ・ マータイ(Wangari Muta Maathai)というケニア出身の女性環境保護活動家は、この「もったいない」という日本の言葉を知って、環境保 護・資源利用の観点から強く賛同し、世界で「もったいない」という考え方を広めようと、「MOTTAINAI」と運動を起こしています。彼女は、2004 年12月に「持続可能な開発、民主主義と平和への貢献」のため、環境分野の活動家としては史上初のノーベル平和賞を受賞しました。
さて、日本でも「食べ物を大切にしよう」という取り組みがいろいろ行われています。これは食料資源の利用、環境保護(ごみ減らし)、企業の社会的責任、市民社会における助け合いといったさまざまな問題意識と関係があります。いくつか具体例を紹介しましょう。
(1)2000 年に「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(通称「食品リサイクル法」)という法律がつくられました。この法律は、食品を作る製造者と、畜産業 などで飼料、肥料などを利用する業者をうまく連携させ、食品を資源として循環させ、再生利用を促すための法律です。食品を作る製造者は、まず、製造、流 通、消費の各段階で食品廃棄物等そのものが発生しないように抑制することが求められています。次に、再資源化できるものは飼料や肥料などへの再生利用を行 うことが求められます。再生利用が困難な場合に限り燃やして熱源として利用します(熱回収)。さらに、再生利用や熱回収ができない場合は脱水・乾燥などで 減量して適正に処理がしやすいようにします。2008年からは、廃棄物等の発生量が100トン以上の食品関連事業者は、毎年、政府に対して、食品廃棄物等 の発生量や食品循環資源の再生利用等の状況を報告することが義務付けられました。
(2)最近日本で「フードバンク」が話題になっていま す。これは、食べ物として衛生面その他で問題がないのに、いろいろな事情で買い手がつかないために、食べずに捨てられてしまうような食べ物の有効利用で す。捨てるのではなく、食事に困っている人たちに寄付する運動です。たとえば、どのような食品をさすのでしょうか。それは、賞味期限がせまっていたり、形 が規格外だったり、外箱が少しへこんでしまったり、ラベルが汚れたり印字がずれてしまったり、といった食品です。これらは、お店に出しても売れません。日 本の消費者は、非常に厳しい目で食品を見ています。また和食の特徴として、野菜(たとえば、きゅうり)はそのままの形で生で食べたりします。(ここは中華 料理と異なる点で、中華料理は切って、炒めたりするので、野菜の元の形がきれいかどうかは、中国人消費者は日本人ほどには気にしないでしょう。)そのた め、これまでは捨てていました。しかし、捨てないで、障害者施設、高齢者施設、児童養護施設、難民支援団体などに寄付するものです。寄付するためには、食 品を集め、それが本当にまだ食品として食べられるかどうかを確認し、その後運び、困っている人たちに届ける手間がかかります。これはヴォランティアによっ て行われます。
もともとこの運動は米国で約40年前から始まり、今米国では200以上ものグループが活動しているそうです。日本で も、2000年頃から東京で活動が始まったそうです。現在では、「セカンドハーベスト・ジャパン」「フードバンク関西」「フードバンク沖縄」「セカンド ハーベスト名古屋」といったグループが日本各地で活動しています。(執筆者:井出敬二・前在中国日本大使館広報文化センター所長 注:本稿の中で、意見に わたる部分は、筆者の個人的意見であり、筆者の所属する組織の見解を代表するものではありません)
※本稿は中国網(チャイナネット)に掲載されたもので、チャイナネットの了承を得て転載しています。
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2009-02-03
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