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「真贋入り乱れる中国に 関する情報を取捨選択して正確・確実な情報だけをユーザーに届ける」――中国情報専門サイトとして日本最大規模の『中国情報局』を運営するサーチナ社長の 端木正和(もとき まさかず)氏はこう語る。中国・福建省出身で日本に留学後、商社勤務を経て中国情報の配信を日本で始めた。また、中国では現地モニター に立脚したリサーチ事業を展開するなど、文字通り“日中の架け橋”となる。(本誌・更山太一 text by Sarayama Taichi)
◆日本最大の玄関サイトであるヤフーにも情報配信
四川大地震の被害規模はどのくらいなのか? 高級フカヒレや上海カニ料理など、上海で人気のレストランはどこか?
中国の政治や経済、金融、IT、エンタテインメントに至るあらゆる分野の情報を配信する専門ポータルサイト『中国情報局』が話題を呼んでいる。
このサイトを運営するのがサーチナだ。中国情報局が配信する1日の平均情報は約200件。ページビューは1日170万を超える。また、日本最大のポータ ルサイトであるヤフーにも記事を配信しており、中国関連記事のほとんどはサーチナによって配信されたものになっている。
また、同社は中国株情報ベンダーとしても日本最大手だ。2007年の国内総生産(GDP)では実質11.4%増と5年連続で2桁成長を続ける中国経済に日本人の投資意欲が高まっていることが背景にあるからだ。
「父が法律の仕事をしていた関係から小さい頃に日本語の法律辞書を眺めていたことで、漢字を使っている日本に親近感を感じた」というサーチナ社長の端木正和氏は中国人起業家だ。
端木氏は1971年中国福建省生まれ。改革開放が始まって10年経った80年代後半の中国ではアメリカや日本へ行き、“外の世界を直接目で見る”という風潮が出始めており、端木氏も17歳の時に日本への留学を決意して日本語学校に入学した。
端木氏が東京に来て最初に感動したのは地下鉄のエスカレーターだった。「地下鉄の御茶ノ水駅を訪れたとき、中国では見たこともなかったエスカレーターに目を見張り、あれだけ地下深くに続くものを造ることができる日本の技術に圧倒された」。
2年間の日本語学校へ通った後、91年亜細亜大学法学部法律学科に入学。父のような法律家の道を志しており、特に起業家になりたかったわけではなかっ た。だが、大学在学中に「日本と中国の交流を進める仕事をしたい」と考え、日本の商社に入社(95年)。約3年半勤めたが、自分の思い描いていた仕事を手 掛けることはできず退職した。
退社する半年前から端木氏はパソコンを購入してホームページの制作を独学で進めていた。様々なホームページを見て、そのソースを勉強し、Javaを使った注文フォームを作成できるようになった。
だが、大学院に通っていた妻がいたにもかかわらず、会社を辞めて安定した収入源がなくなり、生計を立てることに奔走した。また、来日して以来、日本において氾濫している中国の情報を整理して「中国のことを日本語で伝える仕事をしたい」と考えていたが資金もなかった。
そこで、端木氏は会社員時代に貯めた100万円を使って販売代理店業務を始めた。それと同時に個人サイトとして『中国情報局』を開設。端木氏は二足の草鞋の生活を始めた。
個人販売代理店業務では、「身寄りもノウハウもなく、しかも中国人であるから社会的信用も得られない」。端木氏は“ゼロ”ではなく、“マイナス”からのスタートを余儀なくされた。
「とにかく生きるためにもあちこちの会社を営業して回った」という。中国の医療機器や厨房品から中国のお茶や雑誌まで、あらゆる商材を取り扱った。大きな旅行カバンを片手に秋葉原へ出向き、倒産した会社のテープレコーダーやカメラを安く仕入れて転売したこともあった。
「辛い日々だったが、振り返ると私の人生で一番充実していた時期だった」と端木氏は語る。
雑誌の販売で地方の図書館に広告を送る際、電話代をかけないでいかに商品の魅力を感じてもらえるかを考え、一枚の紙で最大限の広告効果を出せるようにレイアウトを工夫した。
「人の考えを逆算して情報を意図的に配置することで、いかに広告を見た人の印象に商品のイメージを残せるか」(端木氏)を肌で学んだのである。
そんな中で、端木氏はキノコを使った健康食品の販売を始めた。地方紙で入稿直前にキャンセルになった広告枠に安価で商品広告を掲載。これが評判を呼んで開業資金を稼いだ。
◆脱中国を視野に入れ、株式上場を目指す
これを元手に「日本において依然としてバラバラで体系化されていなかった」(端木氏)という中国の情報を整え、「情報財」という形で付加価値をつけて販売する会社「サーチナ」を99年9月に設立した。
中国の情報を収集する第一の選択肢としてサーチナの存在感は高まった。2002年には上海に子会社を設立して30万人(08年4月現在)の現地モニター を擁するリサーチ事業も展開。現在では中国進出を図る日系自動車関連企業や飲料関連企業などからのマーケティング調査の依頼も殺到している。
北京五輪(08年)や上海万博(2010年)の開催を控えている中、毒入りギョーザ事件では「真実はどこか」といった中国への疑問の声が後を絶たなかった。
サーチナでは中国大手通信社と提携することで正確な中国情報を配信。北京五輪では中国政府の国務院新聞弁公室が管理する総合情報ポータルサイトの中国網とも提携する。
今年で「中国情報局」開設10周年を迎えるサーチナ――。扱う情報が中国だけでは限界があるとして、「将来は他の主要国での情報の収集・整理を行っていきたい」と抱負を語り、株式の上場も視野に入れる。
中国人起業家の動きが新たな日中の関係をつくる。
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2008-06-05
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