2008-06-12

WORLD WIDE 世界の韓国人 第2部-2-  急増する在比韓国人

:::引用:::

王様のような生活にあこがれ

 白い砂浜と青い海に囲まれた南国の島国、フィリピン。日本人も多く訪れる観光地だ。最近では韓国人も多く訪れる。
 フィリピン政府観光局(DOT)によると、07年の外国人訪問者のうち、韓国人は57万2133人で1位。日本人訪問者数は42万1808人で3位だった。


 なぜ、これほど多くの韓国人がフィリピンを訪れているのか。背景には、観光のほかに語学学習を目的とした訪比者の存在がある。フィリピンの公用語は英語で、外国から移住してくる外国人も多い。外国人のための英語学校はフィリピン全土に600校以上ある。
 韓国から直行便で4時間足らずで行けるし、物価も安い。子ども1人をいかせるのが精一杯という欧米諸国と違い、フィリピンなら家族で滞在ができる。さま ざまな好条件が整っており、英語教育に力を入れる韓国人には魅力のようだ。毎年3万人以上の韓国人が語学留学に出かけているという。
 レベルの高いインターナショナル・スクールも多い。現地の人々にとっては学費が高めで、彼らが入学することはまれだ。「入学待ち」はほとんどない。
 フィリピンの物価の安さは、語学留学以上に、韓国人を呼び込む材料となっている。英語を話せる優秀な人材を安い賃金で雇えるし、プール付きのマンション も1000万円程度で買える。フィリピンに居住する韓国人は、15万人ともいわれる。在比韓国人は2000年以降増え続け、地域によっては「韓国人の占め る割合が現地住民より高いところもある」と、フィリピン韓人総連合会関係者はいう。
 現在、首都マニラに居住する李東銀さん(32)は、韓国人が経営する貿易会社に勤めている。4年前、語学留学で訪れ、そのまま就職した。給料は約18万 円。韓国や日本に比べると、決して高くない給料だが、フィリピン大卒者の2倍以上にあたるという。李さんに言わせれば、マニラでの生活は「まるで王様のよ うだ」。現在の住まいはプール付き高層マンション。お手伝いさんに、運転手も雇っている。週末ともなれば、近くの海まで車を走らせ、ダイビングを楽しむ。 それでも毎月10万円は貯金できるという。
 「毎日が充実している。韓国に戻ろうとは思わない」と李さん。
 一方、フィリピン政府の外国人へのさまざまな規制は韓国人を大いに悩ませている。たとえば、外国人はコンドミニアム以外の住宅を購入できない。食堂や DVDレンタル店など小規模では事業主にもなれない。現地の韓国人は、法律の網をくぐって、フィリピン人の名義で、住宅を購入したり、事業を展開したりす るが、騙されるケースも少なくないという。
 規制よりも韓国人を悩ますのは治安の悪さだ。フィリピンではこのところ、銃を使った凶悪犯罪が急増している。現地人とのトラブルで、韓国人が銃撃される 事件もあれば、韓国人同士のトラブルで撃たれるケースも多発している。銃規制法案を厳格化する動きは出ているが、密造銃も多く、対策は一筋縄ではいきそう にない。
 警察組織のモラルにも大きな問題がある。「フィリピンはいまだウラカネがモノを言う社会だ」と、韓人会関係者はいう。誰が悪いのではなく、どちらがカネを持っているかによって処分が変わることもある。
 一見、天国のように思えるフィリピンだが、韓国人はさまざまな規制や危険と隣り合わせで暮らしているようだ。


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