2008-06-16

インドで研修、社員力を強化 情報サービス各社 英語とIT企業集積の環境に注目

:::引用:::
 ■リーダーシップ、主体性身に付く効果も

 情報サービス業界で技術者育成に加え、異文化に触れる“社員力強化”を目的にインド研修を取り入れる企業が増えている。高レベルなIT(情報技術)企業 が集積しているうえ教育カリキュラムが整備され、英語とITに集中できる研修環境で経済のグローバル化にも対応できる人材育成を目指すためだ。

 NECソフトは、新人をインドで学ばせる研修を05年度から実施している。希望者を募り、インド南部のバンガロールと北部のデリーに約1カ月間送り込むもので、3年間で78人が参加した。

 バンガロールでは教育機関で午前中は英語、午後はIT研修を2週間程度行う。その後、デリーに移って地元のソフト開発会社で、実際にウェブ関連のシステ ム開発にあたる。宿舎はホテルではなく大学の寮などで地元の学生とともに暮らす仕組みで、インドの経済、文化にも触れてIT以外の社会教育効果も兼ねる。

 4年目の今年は今月28日から8月2日までの日程で、27人が参加する予定だ。経団連の産学官連携施策の一環として、インターンシップの学生(筑波大学大学院生1人)も研修に参加する。

 企画した人材開発担当でITトレーニングセンター長の福嶋義弘さんは、「コミュニケーション能力の向上とストレス対策」と研修の目的を説明する。「イン ドはIT先進国だが、文化・経済面では発展途上の面も多い。こうした国でトラブルに対処して、新人だけで解決して成果を出した参加者は、リーダーシップと ともに生活力、生きる力、主体性も身に付く」と効果に満足そうだ。

 日本の良さや課題を見直させる意味合いもある。「外から日本をみてもらい、いかに恵まれているかを体験してもらう。インドはIT先進国といわれるが内需 はほとんど拡大していない。このギャップを実際に体験して、日本のIT業界が鎖国的になっている部分を感じてもらいたい」と福嶋さんはいう。

 NECソフトの取り組みはグループ内外で反響を呼んでいる。NECシステムテクノロジーは管理職やプロジェクトマネージャークラスに加えて、今秋以降に 新人研修を行うため準備を進めている。NEC通信システムからも、マネージャー研修をインドで実施するにあたり、ヒアリングを受けたという。

 日立システムアンドサービスも、NECソフトの研修を参考にして、今年2月にインドでの研修を初めて行った。「国をあげてIT産業を成長エンジンにするべく力を入れているインドの熱気に触れて、語学力と異文化理解を深めてもらう」(広報グループ)ためだ。

 入社5年目から10年目のシステム技術者5人とスタッフ部門から1人の計6人を、IT産業を中心に発展を遂げている西部の学術都市プネに2月2日から3 月30日まで約2カ月間派遣。現地では大学のビジネススクールと企業の教育センターで語学とプロジェクト管理技術を研修。インド研修も継続する方針だ。

 インド研修を請け負う企業を活用するケースも増加。04年からインドに技術者を派遣している東芝、2年前に導入した富士通などIT業界のインド研修熱は次第にヒートアップしている。
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