人材サービス世界最大手のアデコグループの日本法人アデコ(東京都港区)は、需要の堅調なIT(情報技術)の設計やシステムエンジニアなど専門性 の高い技術者派遣の新規事業やM&A(企業の合併・買収)で将来的に国内の人材派遣市場シェアの約2割獲得を目指す考えを明らかにした。
国内の派遣事業は一般事務職が中心だが、アデコは欧米などでノウハウがある技術者派遣事業を強化する。
アデコグループは世界60カ国・地域で人材派遣を展開、07年の売上高は3兆円超。一方、国内の売上高は2232億円で業界4位で、1割未満にと どまる。アデコは国内事業の強化策で、日本法人会長だったマーク・デュレイ氏が4月1日に社長を兼務し、経営の意思決定の迅速化を図る。97年に日本法人 の発足以来、外国人の本社幹部が同法人の社長に就任するのは初めて。
◇市場規模が拡大、「コア」活用定着
国内の人材派遣の市場規模は5兆円超といわれる。バブル経済崩壊によるリストラで人員調整しやすい派遣社員の需要が拡大、製造業への派遣の解禁など度重なる規制緩和で市場規模が急拡大した。
最近は“偽装請負”の社会問題化、“団塊の世代”の大量退職や景気回復による正社員採用の再開など、市場環境は厳しさを増している。外資を含む派 遣各社が人材確保にしのぎを削っており、昨年末にリクルートが最大手のスタッフサービス・ホールディングスを買収するなど再編に向けた動きが出ている。
■主戦場は中小向け
野村総合研究所の倉林貴之・主任コンサルタントは国内の人材派遣の現状を「かつて代替可能な業務が大半だったが、専門の技術知識を持った営業な ど、大企業を中心にコアに近い活用が定着している」と分析。求められる人材の能力アップに伴い、派遣会社の総合力向上が欠かせないとし、業界再編の加速を 予測する。倉林氏は「情報システムの高度化により高い経営効率での業務拡大が可能になった」と語り、今後の派遣の“主戦場”を「地方の中小企業向け」と見 る
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