ソリューションを販売する営業にとって、技術に詳しいSEは最も心強い味方のはず。しかし現実はどうか。 「SEがもっと協力してくれたら」と悩む営業は少なくないだろう。なぜ両者の溝は埋まらないのか。最前線にいる営業・SEの多くは、問題は「意見・立場の 相違」より、日常の行動からくる信頼感や一体感の欠如にあると指摘する。
SEを味方にして商談で有利に運ぶ営業は、SEの信頼を勝ち取るため、日頃からSEとのチームワーク強化に努力を惜しまない。いかにSEから「愛される」か。多くの営業に取材した結果、3つのポイントが明らかになった。
「SEから信頼されているかどうかが、以前にも増して商談の成否を左右している」。日本情報通信 第1営業部の梶原俊博部長はこう指摘する。人不足や昨年のIT投資回復で、SEが忙しくなっていることが背景だ。
SEが既存顧客を多く抱えているのに、営業からは見込み客への技術説明や提案作りの協力が数多く舞い込んでくる。引く手あまたの状況では、どうしても顧客攻略法に説得力のある案件、手掛けやすい案件を優先してしまうものだ。
この「説得力」が曲者である。攻略シナリオが優れていても、「日頃からの情報提供が少なく、協力の依頼が突然過ぎると、リスクを考えつい『ノー』と言ってしまう」と打ち明けるSEは多い。
三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)第一事業本部金融営業部の楓淳一部長は、日頃からSEとコミュニケーションを深め、信頼感や一体感を 醸成しているかが、“説得力”にものをいうと指摘する。特に重要なのは、「顧客情報や目標を共有し、一体感を高めること」。やらされた仕事でなく、SEと 同じ方向で顧客を攻めているという意識が、SEのモチベーションに影響するからだ。
一体感の欠如が「営業不信」に
ソリューション営業の大半は、SEと信頼関係を築く重要性を知り、チーム力を高めるべく努力しているはず。それでも現実には「顧客攻略法を巡ってSEと意見の対立が収まらない」「SEから思ったような協力が得られない」と感じる営業は少なくない。
現場にいるSEに取材すると、実は日頃からの配慮の欠如が、少しずつ信頼を損ねていることが分かる。「営業が『急ぎの案件だ』と、3日後 に締め切りの RFP(提案依頼書)を持ってくる。本当に急ぎだったのか…」「SEの業務にもっと理解を示してくれても…」。こんな体験が、営業に協力しにくくなる原因 になっている。
ソリューションを販売する営業にとって、技術に詳しいSEは最も心強い味方のはず。SEと良好なチームワークを築くには、日常の心掛けと行動から変えていくべきだ。
SEと強固な信頼関係を築いている営業に、自らの体験やノウハウを聞いた結果、営業が日頃から心掛けるべき三つのポイントが浮かび上がった。「顧客と SEの間の橋渡し」「SEとの役割分担」「SEとの情報共有」である。SEの人心をつかんだ営業の実践術を紹介しよう。
本記事は日経ソリューションビジネス2008年4月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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