JR
「南風ユニオンと呼んでいるんです」。組合を1984年に設立した村山敏執行委員長は、そう笑う。北風の厳しさではなく、南風のような温かさ。それが大事だという。
組合員の多くは、コンビニ弁当や、自動車部品の加工工場で働く。ブラジルなどラテンアメリカから来日した人が多い。同労組では、スペイン語、タガログ語、英語などの通訳が労働相談に乗る。
相談内容で多いのは、人件費削減のための不当解雇や、雇用保険の未加入など。違反が放置されている場合は、団体交渉、ワンデーアクションと呼ばれる抗議行動も活発にする。
3月にあった抗議行動では、東京都の大手コンビニチェーンの本社前に組合員ら約100人が集合。ペルーやブラジルなどから来た労働者が、それぞれの母国語で待遇改善を訴えたという。
外国人としての自分たちの労働問題はもちろん、アスベストの被害者救済など、組合とつながりのある団体の活動にも参加する。
村山さんは「なんの集会かわからず参加してくれる人もいるけど、根底には仲間への思いやりの気持ちがある」と話す。
元々は、村山さんらが個人で加入できる組合として立ち上げたのが始まり。不当解雇された韓国人の支援などを通じ、外国人労働者の問題にかかわるようになった。今は組合員850人中、650人が外国人。ラテンアメリカ出身者が最も多いという。
現在、日本で問題化しているワーキングプアだが、非正規雇用は外国人労働者にとっては当たり前の形態。賃金差別や長時間の残業問題も深刻だ。日本語に不慣れで、文化や言葉も違う。そんな組合員をまとめるのが「団結ではなく個性の尊重」だ。
「多少遅刻しても目くじらを立てない。うそをつかない、約束は守るなど、決めているのは最低限のことだけ」という。
村山さんは「日本とは比較にならないほどの貧困が、いざという時の団結力になっているのでしょう」とみる。ワンデーアクションには、毎回、50人以上が集まるという。
●●コメント●●
0 件のコメント:
コメントを投稿