2008-10-17

「ベトナムに教育を」校舎寄付

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「恵まれない子どもに教育を」という願いを残して亡くなった明治学院大(港区)の女子学生の遺志を継ぎ、13年前にベトナムに建てられた小学校の第1期卒業生だった若者が来日した。トラン・コン・バオさん(20)。日本企業で働くことを夢見て、同大で日本文化を勉強中だ。関係者は「現地で学ぶ子どもたちの目標に」と来日を喜んでいる。(高橋はるか)

 同大で東南アジア経済を学んでいた高橋淳子さんは、夏休みの1か月間、市場経済導入期のベトナムに滞在した。帰国後、「豊かな国に暮らす私たちはあらゆる面でサポートしなければならない」と記したリポートを大学に提出。再び現地に赴こうとした1993年の冬、交通事故で亡くなった。20歳だった。

 両親は娘のために積み立てていた貯金や香典など約800万円をベトナムに寄付することを計画。ゼミの江橋正彦教授の協力で、淳子さんが訪れたベトナム中部のディエンフォック村の公立小学校に95年、体育館付き8教室の校舎を寄付した。村人が「ジュンコスクール」と名付けたその学校で、約650人の子どもが1日1~2交代で授業を受けられるようになった。

 ゼミの友人たちは、国際協力団体「ジュンコ・アソシエーション」を設立し、同スクールに机やいす、楽器などを寄付。同大の後輩が活動を引き継ぎ、貧しい子どもへの助成金支給や、現地で子どもと歌やゲームで交流するなどの活動を続けている。

 昨年、明治学院大と現地のダナン大学が留学協定を締結。同スクールの卒業生であることを条件に、学費や生活費を明治学院大が負担して年間1人の留学生を受け入れることになった。

 バオさんは日本語の集中講義を受け、勉学に励んでいる。同大で開かれた歓迎会では、淳子さんの父、広太郎さんを前に「僕の村と国に支援してくれたジュンコに深く感謝している。アソシエーションの活動を手伝いたい」と話した。

 江橋教授は「ここまで支援活動が続いたのは、エネルギーにあふれていた淳子が見守っているからだと思う」と喜びを表した。アソシエーションへの問い合わせは飛騨祐圭代表(電)090・6436・5269。

(2008年10月17日  読売新聞)
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