2008-10-25

NOVA破綻あす1年、業界不信ぬぐいきれず

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 英会話学校「NOVA」が大阪地裁に会社更生法の適用を申請(その後、破産手続きに移行)して26日で丸一年を迎える。ずさんな経営にブレーキをかけ損ねた行政側の改善策は道半ばで、最大手だったNOVAの破綻(はたん)は業界全体への不信感も呼び起こした。事業はジー・コミュニケーション(名古屋市)が引き継いだが、元受講生の痛みは今も癒やされていない。(経済部 向野晋、岸本英樹)

 要望書

 元受講生らが情報交換のために結成した「NOVA生徒の会」(大阪市)は23日、野田消費者相に「語学学校における被害防止と行政機関の対応の改善」を求める要望書を出した。

 元受講生の女性(35)は「私たちが経験したようなつらいことが二度と起こらないよう、事件をうやむやにせず、しっかり検証してほしい」と訴える。

 対応後手

 英会話学校の設立に原則として規制はないが、1999年の特定商取引法改正で利用者に中途解約を認めるなど一定の網がかけられた。だが、NOVA の破綻前に、契約を巡るトラブルが相次いだにもかかわらず、新規契約の停止といった処分を出すのが遅れるなど、同法を所管する経済産業省の対応は後手に。 関係省庁が複数にまたがったことも、動きを鈍らせた。

 経産省は現在、業界団体に「一定額以上の高額契約をしない」といった自主ルールの策定を促している。それでも、生徒の会は「被害者がたらい回しの構造は変わらない」と厳しく指摘し、新設される消費者庁への対応の一元化などを求める。

 優遇措置

 破綻時に約30万人いた元受講生の多くは、救済されなかった。旧NOVAの破産管財人によると、前払いした受講料が返還される可能性はほぼない。 25%の追加授業料を払えば、旧NOVAへの前払い分を受講できる優遇策を設けたジー社の教室は379か所(24日現在)で、旧受講生約7万人が移ったに すぎない。

 「自宅から通える距離に教室がない」ことも要因だが、ジー社は教室展開について「着実に増やしていきたい」とするにとどめる。

 このほか、二つの業界団体の加盟社を中心に、55社が入会無料などの優遇措置を設けて計約2万人の受け入れを表明し、1万数千人が利用した模様だ。

 旧NOVAに対する不信感は、業界全体にも悪影響を与えた。矢野経済研究所によると、語学学校全体の2007年度の市場規模は前期比6・4%減の3396億円に縮小しており、業界全体として信頼回復に取り組む必要がある。

2008年10月25日 読売新聞)

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