急激な円高のショックが県内を直撃している。自動車などの輸出産業が海外需要のさらなる落ち込みを心配し、観光地では実際に外国人客の減少などの影響が出始めている。一方、小売店など円高のメリットを最大限に活用しようとするところも現れ始めた。 (中根政人、川口晋介)
富士重工や関連企業の工場が並ぶ太田市や大泉町は円高のダメージを最も受けやすい地域。「北米輸出に依存する自動車産業にとって、業績悪化の致命傷になりかねない」と不安は高まるばかりだ。
太田商工会議所は会員企業を対象に行ったアンケートを基に地域の景況感を説明。「円高と株安、米国の消費冷え込みと何一つプラス材料がない。円高の影響はこれから表面化する。下請け企業などにどのような悪影響を及ぼすのかが怖い」と懸念する。
外国人観光客の誘致に積極的に取り組む草津町の草津温泉。円高で滞在費が割高になった影響から、今夏以降に台湾や韓国などからの団体客が減少。 七、八月は前年同期比で一-二割減った。同温泉旅館協同組合は「外国人の観光客数は毎月千二百-千九百人に増えてきていた。外国人が温泉から遠ざかれば、 これまでの営業努力が無駄になりかねない」と危機感を隠さない。
伝統産業にも深刻な打撃を与えている。約千三百年の伝統を誇る桐生市の織物産業は昨年以降、中国への輸出を強化。その直後に円高の波が押し寄せて きた。桐生織物協同組合は「各企業とも、一ドル=一一〇-一二〇円に設定して事業計画を組んできた。円高が長期化すれば対応できない」と強調する。
一方、チャンスととらえる業界も。ジャスコ太田店(太田市)は十一月一日から、「円高還元」として食料品や衣料品など三百品目の店頭価格を 10-30%値下げすることを決めた。同店を展開するイオン(千葉市)は「円高のメリットを消費者に実感してもらうことが、内需拡大につながる」と期待を 込める。
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