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今回のテーマは、オフショア開発における契約の一形態である「ラボ契約」についてお話したいと思います。
「ラボ契約」という言葉は、特に何かの用語辞典に掲載されている言葉ではありません。業界で自然発生的に生まれた言葉だと思います。したがって、会社によっては、この言葉の使い方が異なります。
今回はラボ契約についての一例をご紹介しますが、契約は受発注者間での事前の話し合いで個別に決定するものであり、決まったルールや方式があるわけではありません。要するに公平で受発注者双方が納得するものであれば、どのような形態でも良いと思います。
◆オフショア開発における契約形態
中国オフショア開発における契約形態は様々です。初めて取引する場合やスポット的に取引する場合は、請負契約が主流です。請負契約ですから、要求仕様に合致した成果物が納品されて初めて検収、支払が行われるという形です。
また、関連会社間での取引や長期的継続的な取引を行う場合は、請負契約ではなく、いわゆる作業に要する工数で契約する形態(SES契約、委任契約とも言いますが、ここでは工数契約と呼ぶことにします)やラボ契約という形態を採用する場合も非常に多くなってきています。
◆本来のラボ契約とは
実は、通常の工数契約のことをラボ契約と呼んでいるケースも非常に多いのが実態です。しかし、本来のラボ契約は、工数契約の中に請負契約的な概念を網羅した契約ではないかと思います。
ラボ契約は、予め決定した工数内で、個々の案件(一般的には複数の案件が同時に動いているイメージです)の対応を行ないます。各案件は、請負契約の考え 方で作業工数を決め、作業の優先順位を付けてスケジューリング、納期決定を行い、業務を遂行します。結果的に事前に決めた工数をオーバーしてしまっても、 仕様変更等何らかの工数増加要因がない限り、超過工数は契約上、算定されません。
また、ラボ契約では、ある一定期間(半年間あるいは1年間程度)で発注する仕事量の最低保証を行ないます。これにより発注者側は、受注者側の優秀な人材を安定的に確保し、ノウハウの蓄積を目指します。
しかし、その反面、仕事がない場合でも最低保証分の支払を行なわなければならないというリスクも同時に抱えることになります。
■信頼関係の上に成り立つラボ契約
ラボ契約は、ある一定期間の発注を保証する契約でもあるため、未知のパートナーと初めて取引を行う場合、いきなり採用すべき契約ではないと思います。受 発注者間で相互に力量を把握し、お互いの信頼関係が構築できた段階で、より密接に、かつ中長期的なパートナーシップを構築する手段として、ラボ契約もひと つの選択肢として、検討すべき契約方式ではないかと考えています。(執筆:末富昌幸)
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・中国オフショア開発:人材育成投資のジレンマ(2008/09/09)
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2008-10-09
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