◇職安課「6社は会社と一体」/労基署「独立した個別企業」
◇賃金未払い、04年に処分
国の外国人研修・技能実習制度で中国人実習生を受け入れた福井市の縫製会社が、賃金未払いで処分を受けながら、「単純労働者」として実習生を受け入れるため別会社6社を設立した。この6社をめぐり、福井労働局職業安定課は「すべて縫製会社と一体のもの」としているが、同局が管轄する福井労働基準監督署は「独立した個別の企業だ」とし、対応が分かれている。実習生の支援団体は「同じ行政機関で対応が分かれていること自体、制度の欠陥を表している」と批判している。【松井聡】
縫製会社は、04年に賃金未払いの指摘を受け、名古屋入国管理局から3年間の受け入れ停止処分を受けた。しかし、「事業継続のためには受け入れが必要」として別会社6社を設立。05年11月からこれまで、各社が受け入れた実習生延べ30人と、偽造パスポートで入国した2人=昨年11月に入管法違反で強制送還=を縫製会社名義で受注した仕事に就労させていた。
別会社6社について職業安定課は、同じ工場で作業している実態から「縫製会社の1部門」と認定。受け入れ自体が入管法違反になるとして今年3月、同入管に通報した。
一方、労基署は、実習生の賃金台帳が6社ごとの名義になっていることなどから個別の企業と判断。その上で昨年12月、労基法違反で未払い賃金の支払いを6社に勧告した。
これに対し、同制度の抜本的見直しを求めている市民団体・外国人研修生権利ネット福井の高原一郎事務局長は「このケースでは、実態を反映していない労基署の判断で、(雇用主の規模が小さくなり)賃金の減額を受け入れざるを得なかった。また、こうした手法を認めれば、実習生を無制限に受け入れられることにもなる」と批判する。
縫製会社は「別会社による受け入れは違法ではない」と主張。福井労働局は「個別案件には答えられない」としている
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