新エネルギー車推進に関する政策研究が国のサポートで静かに進められており、早ければ年内に発表となる見込みだ。なかでも、財政支援と優遇税制が、新エネルギー車の重要な奨励政策の一つとなる模様だ。
この情報は、中国自動車技術研究センターの趙航主任が第1回新エネルギー自動車フォーラムで明らかにしたものだ。
趙航主任は次のように語った。今回の研究任務は、国家発展改革委員会が総合計画策定協力機関である中国自動車技術研究センターに委託したもので、同センターは、財政部、環境保護部、発展改革委員会などと共同で70〜80人のプロジェクトチームを立ち上げた。環境保護、財政、税務などの面から新エネルギー車に対する政策支援を研究する。現在、プロジェクトは半ばまで進んでいる。
まだ白紙状態に近い中国の奨励措置
新エネルギー車に関する政策研究の主目的は、省エネ効果が顕著で産業化の条件を備えた省エネ・新エネルギー車製品の市場化プロセスを加速し、できるだけ早く省エネ効果を発揮させるために、一連の関連措置の制定と実施を促すことだという。科学技術部の万鋼部長は先ごろ、新エネルギー車の生産台数を2012年に100万台にするという目標を掲げたが、現在の国内の新エネルギー車の産業化は、この目標にはほど遠い状況である。
趙航主任によると、プロジェクトチームは海外からの資金支援と国内メーカーからの援助によって、総額約500万元の出資を募り、現在6つのテーマに分かれて研究中という。
中国は現在、主にハイブリッド、純電気、燃料電池、代替エネルギーの4つの分野からエネルギー危機に対応している。これらは他の国でも新エネルギー車推進の主要な方向であり、具体的な技術路線の選択について各国で若干の違いがあるだけである。
推進措置には、主に関連法規、基準、優遇税制などが含まれる。このため、財政部や環境保護部などがプロジェクトに参加しているのだ。
海外の新エネルギー車の研究開発ブームは1970年の石油ショックに刺激されたもので、多くの国が新エネルギー車の研究開発と利用に関する政策を打ち出し始めた。資料によると、米国では、小型ハイブリッド車1台について3400米ドルもの補助金を支給し、天然ガスなどの代替燃料車のコスト増加分に対して50〜80%の財政補助金を支給している。日本では、電気、天然ガスなどのクリーンエネルギー車は50%減税し、同クラスの従来車との差額の2分の1を割引補助し、さらに、天然ガスなどの燃料供給設備の設置費用も部分的に補助が受けられる。欧州の多くの国でも同様に、新エネルギー車に対する助成制度がある。
これと比べ、中国の新エネルギー車への具体的な奨励措置はまだ白紙状態に近い。自動車アナリストの賈新光氏は次のように考える。現在、新エネルギー車に対して具体的な奨励措置がない上、新エネルギー車の技術的な成熟度の要求など、15もの制約を設けている。これは、新エネルギー車の推進に非常に不利である。
今回の新エネルギー車政策の研究内容の一つは、国がどのような財政補助と優遇税制の支援策を打ち出すかである。海外の基準を参照に、国内事情に合った発展政策をまとめ、期間中の省エネ目標、技術路線、関連措置をできるだけ早期に制定し、技術方針を確定する予定だ。これらは年内に発表となる見込みという。
ディーゼル車は奨励対象外か?
新エネルギー車の推進政策の発表が近いことからも、中国の自動車産業発展の技術路線がすでに明確化していることが分かる。かつて、過渡期の技術選択として、ハイブリッドと争った先進ディーゼル車は、最終的に敗北する可能性が高い。先ごろ、フォルクスワーゲンがディーゼルエンジンの国産プロジェクトに二の足を踏んだことは、これを証明しているかのようである。
当初、トヨタ自動車をはじめとする日系自動車メーカーは、中国がハイブリッド車の発展に力を入れることを望み、フォルクスワーゲンをはじめとする欧州のメーカーは、中国で関連研究機関と提携して、中国がディーゼル車技術の推進に力を入れることを望んだ。
わが国政府の主管部門はかなり長い間、ディーゼル車とハイブリッド車のどちらを支援するか態度を明らかにしなかった。しかし、科学技術部が「第十次五カ年計画」および「第十一次五カ年計画」期間に、電気自動車の重要特別プロジェクトを展開したのに伴って、国内メーカーは次第にハイブリッド、純電気、燃料電池の研究開発の道を歩むようになり、一定の産業規模を形成した。多くの国内メーカーがハイブリッド、純電気、燃料電池の研究開発という布陣を選び、以前のトヨタとフォルクスワーゲンの争いが、多くの国内自社ブランドメーカーとフォルクスワーゲンのディーゼル車のにらみ合いに変化したことは、見過ごせない事実である。しかも、石油製品の供給に問題が生じていることから、ディーゼル車は最終的に国の政策の奨励リストから外れる可能性が高い。
現在、国内の自動車メーカーのハイブリッド、純電気、燃料電池への研究開発熱が高まっている。奇瑞、長安、一汽セダンのハイブリッドセダンは北京オリンピックで試験的に運用され、東風、北京理工大学などの事業所の純電気自動車も運用に成功。上海汽車の燃料電池自動車もテストルームを出て、運用試験を行っている。
「われわれはエネルギー危機と環境危機に直面しており、現在、主としてハイブリッド、純電気、燃料電池、代替燃料という4つの分野から危機に対応している」と趙航主任は言う。「ハイブリッドが発展の主流であると言うべきである。なぜなら、ハイブリッドは社会インフラに依存せず、量産化して市場に投入できるからだ。事実、現在日本と米国でも大量に市場に投入されており、プリウスはすでに累計で85万台販売されている」
現在、純電気、燃料電池は、なお技術的なブレークスルーを待たねばならないが、この新エネルギー路線の選択を覆すのはもはや不可能である。特に万鋼部長が100万台の産業化目標を掲げたことからも、ハイブリッドの技術路線がすでに優位にあることがうかがわれる。
とはいえ、ディーゼル車やその他の過渡期の技術路線も決して封印されてしまったわけではなく、依然として選択技術の一つである。中国自動車技術研究センターの研究プロジェクトでも、先進内燃機関の近未来技術の研究は引き続き行われている。なぜなら、今後当面は、先進内燃機関の自動車が依然として大きな市場シェアを占める見通しで、ハイブリッド技術も内燃機関の技術と切り離すことはできないからだ。
先般の先進ディーゼル車とハイブリッドの争いは、主として国の政策補助金を得ようとするものであった。しかしここにきて、国の補助金対象は、主としてハイブリッド、純電気、燃料電池、代替燃料という新エネルギー車に向けられており、ディーゼル車は含まれない可能性が高い。
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