NECグループが見据えるのは、「外注先」としてのオフショアでなく、市場としての新興国の将来だ。拡大する中国市場を視野に入れ、積極的にオフショア開発を進めているNECグループの海外活用について、NECソフト調達企画部の太田隆部長代理にうかがった。
NECソフトがオフショア開発を始めたのは、1995年ごろから。インドの従業員数2000人ぐらいの企業にトライアルで3人月程度の案件を発注し たのが、最初だった。ちょうどシステム開発が汎用機からオープン系に移行しつつある時期にも重なった。当時は日本国内にオープン系に強い会社があまりな かったこともあり、海外活用とオープン化の両方を兼ね備えたトライアルを行った。
内容としては、マスターのトランザクション処理といった簡単なものだ。それでも最初の海外アウトソーシングであり、守秘義務の契約や本体の契約な ど、かなりの手間が掛かったという。「当時のやり取りですが、英文のメールやFAXをやり取りし、契約書の中身を合意するのに1か月以上掛かりました。そ れから実際の発注です。3人月のトライアルにしては随分手間を掛け、時間を掛けましたが、結果としては、あまりうまくはいきませんでした」と、太田部長代 理は、その当時の苦労を振り返る。
発注先に日本拠点がなかったことと小規模な案件だったこともあり、ブリッジSEは置かなかった。そのため、コミュニケーションに問題があったとい う。その後、NECソフトでは、地理的に近くコミュニケーションが取りやすい中国でのオフショア開発を、1997年ごろから本格的にスタートさせる。
2006年度の数字ではソフト外注費の総額が470億円、購入先数が約600社。その中で海外比率が8.6%で約40億円、会社数では60社くらいになる。2000年度は約6.4億円だったので、6年間でほぼ6倍となったわけだ。
このうち中国が約9割を占めており、残りが韓国、ベトナムとなっている。中国では上海、北京、大連の3都市が中核だったが、最近はこの3都市に加え て山東省の済南市に子会社を作った。「NEC全体で中国の開発メンバーを7000人規模にすると、1年ほど前に新聞発表しました。その時点では約4600 人ほどでしたが、2009年度中には実際に7000人体制まで増やす計画です」と、太田部長代理は、急激な規模拡大を指摘した。
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