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中国オフショア開発の最新動向(27)-末富昌幸
今回は、中国オフショア開発におけるドキュメントの翻訳について考えてみたいと思います。
◆ドキュメントの中国語化
先日、ある日本企業の担当者の方から、次のような相談を頂きました。
「近々、中国のあるパートナーさんへ○○○○システムの開発をお願いする予定でいろいろと準備しています。今回、短納期であるため、開発期間を短縮すべ く、ある専門の業者さんに頼んでドキュメントを中国語化しようと思っています。多少、コストが増えますが、最終的には、仕様の理解度を高めることができ、 開発効率がアップすると思いますが、どうでしょうか?」というものです。
一見、理想的と思えますが、果たしてどうなのでしょうか?
◆メリットもあるがリスクも高まる!?
たぶん賛否両論、意見が分かれると思います。一概にいいとも悪いとも言えません。ドキュメントの中国語化にも、やはりメリットもあればデメリットもあると思います。
中国語のドキュメント(仕様書)があると、中国パートナーの技術者は仕様の理解を短時間で行えるため、とても喜ぶと思います。また、開発チーム全員がシステムの全体像を早期に理解できるため、メリットが大きいと思います。
やはり何と言っても母国語ですから、誰でも母国語が一番理解しやすい言語であることは当然ですね。
しかし、リスクもあります。日本語は、英語や中国語とは異なり、曖昧な言語です。また、直訳するとおかしな言葉になり、意味がよくわからなくなってしまうため、ここでは当然、翻訳者によるアレンジが入ってしまいます。
したがって、どんなに優秀な翻訳者が翻訳しても、どうしてもニュアンスが変わってしまう部分が出てきてしまうことが有り得ます。
これにより、仕様上の行き違いが発生するリスクが高まります。実際、中国に限らず、オフショア開発で、日本語ドキュメントを外国語に翻訳して、結果的には大きな後戻り工数が発生してしまったという悲しい事例も少なくありません。
逆に開発委託するシステムの仕様を熟知している技術者(中国人)が自分の言葉で中国語ドキュメントを作成するのであれば、翻訳によるリスクはほとんどなくなると思います。
◆ドキュメントの言語
ちなみに「必ず日本語ドキュメントで開発すべし!」というわけではありません。英語でも中国語でももちろんOKです!
重要なことは、発注者受注者間で最もコミュケーションを図りやすい言語を選択し、出来るだけ「翻訳」というステップを作らないことが望ましいということです。
他の諸外国に比べると、中国には日本語力に優れた技術者が圧倒的に多いのは間違いありませんが、最近は需要と供給の関係で日本語力に優れた技術者は不足しています。
とはいえ、日本向けのソフトウェア開発を行っている中国ソフトウェア企業には、日本語教育に熱心な企業が多いです。中国オフショア開発のひとつの大きな優位点! それは、日本語100%で開発を行えるパートナーが多いという点です。(執筆者:末富昌幸)
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2008-07-25
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