2008-07-14

中国人の台湾観光

:::引用:::
中国と台湾を結ぶ週末直行チャーター航空便が4日に就航して一週間余り経過した。中国人の台湾観光も解禁され、相 互の人の往来は格段に便利になった。一方で、馬英九政権の中国に対する過度な配慮や急速な規制緩和を危ぶむ声もあり、中国人観光客がもたらす経済効果につ いても疑問視する見方が広がっている。
 (台北・小山田昌生)

 ■「総統」を削除
 「中国大陸には台湾を旅してみたいと思っている人が5000万人いるという。毎年100万人来たとしても50年は続く」
 台湾与党・国民党の呉伯雄主席は、直行便で台湾を訪れた中国の観光当局幹部を歓迎する宴席で、台湾側の期待度の高さをこう表現した。
 台湾交通部(交通省)観光局は、「台湾は自国の一部」と主張する中国側に配慮し、中国人向けの簡体字(略字)版ホームページから「中華民国」の旗や「総統・馬英九」の表記を削除した。
 自らの立場を譲歩し、人民元両替解禁や中台間の投資規制緩和など実績づくりを急ぐ馬政権を、野党・民主進歩党(民進党)は「台湾の尊厳が失われる」と批判する。

 ■株価は急降下
 馬政権が中台関係改善の第一歩と誇示する週末直行便就航だが、市場の反応は冷めている。5月の馬総統就任直前に9200を超えていた台湾の株価指数である加権指数は、10日には一時7000を切るまで下落した。
 台湾を訪れる中国人観光客は、不法残留や政治的摩擦を防ぐため、団体行動が義務付けられている。だが、8日夜には、中国人女性客3人が台北県の ホテルから失跡する事件が起きた(うち2人は身柄確保)。中国人客が行方不明になると、台湾の受け入れ旅行社は、規定で1人につき20万台湾元(約70万 円)の保証金を没収される。
 また、台湾の受け入れ旅行社は中国当局と関係のある業者に偏っており、業界には不公平感もくすぶっているという。

 ■日本人は減少
 台湾を訪れる外国人客数のトップを占める日本人は昨年、過去最高の年間117万人を記録した。だが、今年1−5月は昨年同期比で4.65%の減少に転じている。
 燃料費高騰や日本の景気低迷が要因とみられるが、今後、台湾での中国人客増加に伴い、ホテルが確保しにくくなれば、日本人客の台湾離れが加速する可能性もある。
 中国人観光客のマナーも懸念材料だ。台北市の老舗土産物店の店主は、中国人ツアーの買い物の打診があっても断ると言い切る。「中国人客は大声で話し、しつこく値切る。ほかのお客さんが寄り付かなくなる」というのが理由だ。

 ■依存度が上昇
 今のところ直行便利用者は、中国に観光やビジネスで出かける台湾人の比率が圧倒的に高く、「入ってくる人民元より、出ていく台湾元の方が多い」といわれる。
 中台当局は今後、貨物機運航や海路の直航に向けた協議に入るとみられるが、これらが実現すれば、台湾経済の対中国依存度が増すのは確実だ。
 中台間の往来活発化が、台湾経済に活力をもたらすのか、産業空洞化に拍車を掛けるのか、見守る必要がありそうだ。
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