■貧困脱出へ国際結婚ブーム
大学4年生のプッサディさん(23)は、講義の合間に必ず近くのインターネットカフェに来て、タイ語の出会い系サイトにアクセスする。見知らぬ男性とチャットを始めて少しすると、「顔を見せて。私も見せるから」とメッセージを打ち込んだ。
備え付けのカメラで自分を映し、ネット上に動画をアップする。相手の顔が映し出されると「こんにちは。彼女はいるの?」と照れ笑いしながらキーボードをたたいた。
約45分のチャットを終え、本音を明かす。「タイの男は浮気者が多いから会う気はない。金持ちで誠実な外国人の夫を結婚サイトで見つけるために英語を勉強中。チャットはその予行演習よ」
バンコク東部のラムカムヘン通り。わずか約100メートルの商店街にネットカフェが5店もある。使用料は1時間10バーツ(約30円)と安く、若者でいっぱいだ。
女性は大半が20代で、ほとんどが出会い系や結婚サイトでチャット中。男性は制服姿の10代が多く、全員がゲームサイトに没頭していた。「利用サイトは男女で完全に分かれている。ゲームとチャットばっかり」と受付のポーさん(23)は苦笑した。
外国人男性とタイ人女性を結びつける97年創設の結婚サイト「スイート・シングルズ」には常に数千人の会員が登録する。管理者のビイさん(40)による と、登録タイ人女性の結婚率は「80%」と驚異的だ。男性は一定の収入がないと登録できず、事前審査がある。30~60代の欧米男性が、プロフィルを載せ た20~40代のタイ人女性にメールでアプローチする仕組みだ。
銀行勤務のレクさん(30)は、同サイトで出会ったノルウェー人男性(40)と先月結婚した。浮気したタイ人の恋人に嫌気がさして05年にサイト 登録。メールが来た300人の中で「一番誠実だった」。この男性がレクさんに会いにタイを訪れた際、東北部イサーン地方にあるレクさんの実家も訪れ、「あ なたの両親の面倒も見る」と誓ったことも魅力だった。「彼は家族に経済的安定を与えてくれる」とレクさんは喜ぶ。
もちろん国内結婚の割合が圧倒的だが、内務省関係者は「国際結婚で貧困からの脱出を考える女性は多い」と話す。レクさんは「地元のイサーンでは 『金持ちの外国人と結婚しなさい』と親に言われて育つ女性が少なくない」という。育ててもらった恩返しに、成人したら親や兄弟を経済的に支援するのが伝統 だ。
民間団体の03年の統計では、国際結婚後もタイに住み続けるイサーン出身の女性は約2万人。平均月収3千~5千バーツ(1万~1万6千円)だった という21~30歳が多く、相手は月収12万~20万バーツ(40万~65万円)の欧米男性だ。コンケン大のイサーン地方での調査によると、国際結婚を 「家族全体の社会的地位向上の手段」と見る傾向が強い。
同大のスパワタナコーン准教授はさらに、業者の紹介や友人の口利き、夜の仕事を通じた出会いが多かった従来に比べ、「簡単に利用できるネットの普 及で、中流階級の女性も国際結婚に目を向けだした」とみる。結婚サイトのビイさんも「都市部の女性の登録が急増している」と語る。比較的安全で直接相手を 探せる利点にひかれ、サイトによる国際結婚は「新たなブームを迎えた」。登録者数は04年以降、毎年7割の増加を続けているという。
■少年はゲーム没頭、中毒も
情報通信技術省の担当者によると、出会い系・結婚サイトに絡む犯罪などの報告は今のところ、ほとんどない。一方で「未成年によるオンラインゲームが深刻な社会問題になっている」と懸念する。
国立電子コンピューター技術センターの統計では、タイのネット利用者1500万人の11%がオンラインゲームを使う。その大部分の148万人が未成年者だ。6割強が自宅でアクセスし、3割がネットカフェを利用する。
オンラインゲーム中毒者のカウンセリングを始めて2年目のバンディット医師によると、常にゲームをしていないと安心できない「中毒者」は未成年 ゲーム利用者全体の2%。一歩手前の中毒者予備軍は10%に上る。学校に行かずにネットカフェでゲームに没頭する男子高校生が増えているという。
人気は、ネットでつながった見知らぬ相手と対決や競争をするゲーム。未成年利用者の8割が戦争ゲームなど殺人系や格闘系を好み、「日常行動への影 響も懸念の一つだ」(バンディット医師)。児童心理学者のナンタユットさん(45)は「タイでは03年ごろからの社会現象。幸い暴力的なゲームに触発され て犯罪を起こすなどの事態は起きていない。早い段階での対応が求められている」と語る。
政府は、提供するゲームの登録をネットカフェに義務づけたり、18歳以下の入店時間を制限するよう求めたり、対策に躍起だが、罰則がないことなどからネットカフェ側の対応は消極的だ。
ネットカフェ事業者で作る協議会のティラチャート会長によると、約2万事業者が法に基づく事業登録をしているが、5万が未登録。政府発行の免許は 半年ごとに250バーツを払って更新する必要があるため、「警察官にお金を渡して未成年者の利用を見過ごしてもらう事業者もいる」と頭を抱える。
ラムカムヘン通りのネットカフェ。制服姿の少年(18)は「誰にも負けたくないから毎日6~7時間は練習したい。学校を少しさぼらないと時間が確保できない」と戦争ゲームに夢中だった。●●コメント●●
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