日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)締結に伴い、7月に来日するインドネシア人の看護師や介護福祉士への求人を出した病院や老人ホームが 道内ではゼロだったことが11日分かった。病院などの人手不足は深刻だが、インドネシア人が日本の国家試験に受かるかどうかが見通せない上、受け入れ態勢 への不安もあり、今回は様子見のところが多かったもようだ。
同協定に基づき、今年、日本が受け入れるインドネシア人看護師は二百人、介護福祉士は三百人。インドネシア政府によると、看護師は派遣 希望者対象の試験に二百九人が合格したが、介護福祉士の応募は受け入れ枠を大幅に下回る百十五人にとどまった。同国に介護福祉士の資格がないことや、周知 不足が理由とみられる。
一方、日本側の受け入れ窓口になる国際厚生事業団(東京)は一日に全国の病院や老人ホームからの採用募集を締め切り、百九十八機関が合わせて五百十二人を募集。しかし、北海道からの募集はゼロだった。
多忙を極める職場環境や待遇への不満から、道内の看護・介護の現場は「人手不足でぎりぎりの状態」(病院関係者)。今後一段と少子化が進む恐れもあり、「優秀な人材が安定的に入るなら歓迎したいとの声は強い」(北海道社会福祉協議会)と潜在的な需要は少なくない。
それにもかかわらず求人がゼロだったことについて、北海道老人福祉施設協議会の進藤恭司会長は「南国生まれの人々が冬の寒さに耐えられるかという不安もあった」と話す。
また、病院などの受け入れ施設は登録料や語学研修の補助費など一人六十万円前後を負担しなければならないほか、インドネシア人は来日後、 看護師は三年、介護福祉士は四年の間に日本の国家試験に受からなければ在留資格を失う。北海道病院協会の徳田禎久理事長は「病院側の負担が大きい半面、試 験合格のハードルが高く、結果的に人材が残らない恐れも強い」と話す。
江別市の介護老人福祉施設・静苑ホームの中田清施設長も「大卒の優秀な人材も多く、積極的に受け入れたい」と前向きながら、「受け入れておきながら、多くが国家試験に受からない事態になれば、国際問題になりかねない」と懸念する。
今回、病院や老人ホームは七月半ばまでに個別に雇用契約を結ぶ。七月末以降、語学研修のために来日し、実際に働き始めるのは来年一月末以降になる見通し。来年度も五百人を受け入れる予定だ。
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