県警による外国人偽装結婚の摘発が相次いでいる。日本で働くために不法に在留資格を得る外国人の一つの手段で、県内では昨年末からすでに3件19人を逮 捕。ロシア人ら5人を逮捕した事件では、偽装結婚を手引きする日本人の存在も垣間見え、問題の深刻化をうかがわせている。一方で届け出を受ける自治体は 「婚姻届に不備がなければ受理するしかない」と対応の難しさに頭を抱えている。
ロシア人による事件では県警は14日までに、在留資格を 得るために偽装結婚をしたとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで、ロシア国籍の新潟市中央区天神尾、自称中古車買い付け業カザンスキー・ウ ラジミール(27)、同市西蒲区巻甲、運送業小林和代(44)の両容疑者ら計5人を逮捕した。
この事件では、カザンスキー、小林両容疑者の婚姻届作成に協力した新潟市と燕市の男も逮捕。5人の間では報酬のやり取りもあり、県警は「背後に県内で偽装結婚を手引きする『ビジネス』が生まれた可能性もある」とみて、ほかの日本人男性も聴取、実態解明に乗り出している。
国は全国で約25万人といわれる不法滞在外国人を5年間で半減させる方針で、県警も数年前から東京入国管理局と合同摘発を実施。中でも偽装結婚の疑いがあ る外国人が多数いることに注目している。5月に新潟市で開かれる主要国首脳会議(サミット)労働相会合の警備面からも、不法在留の温床となる偽装結婚の摘 発を強化している。
一方、婚姻届を受理する行政側にも課題が残る。昨年11月、県警と警視庁が合同でロシア国籍の女ら11人を逮捕した事件では、女らは航空機の乗り継ぎのための通過査証(トランジット)で入国したにもかかわらず、墨田区役所は偽の婚姻届を受理した。
新潟市が2007年度に受理した日本人と外国人の婚姻届は148件。06年度より49件増えた。同市の担当者は「おかしいと思う届け出があっても確認するのは難しい。日本人の代理人が届け出る場合もあるので、書類で判断するしかない」と話す。
国際結婚する外国人のほとんどが、日本社会に解け込もうと努力しているだけに、同市市民総務課は「外国人だからといって、審査を厳しくするの差別につなが りかねない」と指摘。「偽装結婚事件は全国的にも多く、1自治体だけが審査を厳しくすることはできない。国として対策を打ち出してほしい」と訴えている。
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