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地球の危機を食い止めるために国際社会は足並みをそろえることができるだろうか。約190の国・地域が参加する気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が、コペンハーゲンで始まった。
1997年に採択された京都議定書の約束期間が2012年に終わる。何も決まっていない13年以降の温暖化対策について、国際的な枠組みを取りまとめなければならない。批准などの国内手続きを考えれば、ぎりぎりのタイミングである。
もともと京都議定書自体も幾つかの問題点が指摘されていた。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減義務が課されたのは、日本や欧州の先進国だけ。中国、インドを含む途上国は初めから除かれていた。さらに米国も01年に「離脱」したことだ。
批准した先進国全体の排出量を90年に比べ、少なくとも5%減らす―というのが議定書の掲げた目標。これは何とか達成できる見通しだが、逆に米中を含めた世界全体では4割近くも増えている。「焼け石に水」の状態である。
すべての当事者の参加がなければ温暖化防止に歯止めがかからないことを、端的に物語る。
それだけに今回の会議が持つ意義は大きい。にもかかわらず年内の新たな議定書の採択は絶望的―との観測が強まっている。
先進国の大幅削減が先決とする途上国側。経済発展が著しい途上国にも応分の削減を求める先進国側。双方の溝がこれまでの作業部会でも埋まらなかったからだ。まずは枠組みづくりに向けた政治合意を目指す必要がある。
ようやく会議直前になって、途上国を含めた各国から削減目標の表明が相次いだ。世界1、2位の排出国である中国と米国、さらに成長めざましいインドが一応の数値目標を示したことは、大きな前進ではあろう。
ただ米国の「20年までに05年比17%削減」は、90年比にすると3~4%程度にすぎず、20%以上を掲げている日本や欧州に比べると、見劣りする。
中国とインドの目標は国内総生産(GDP)当たりの数字だ。総生産が増えれば排出量も膨れ上がる、いわば「濃度規制」にすぎない。総量を確実に抑える目標が不可欠だろう。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、温暖化の深刻な影響を回避するには、先進国全体で90年比25~40%の排出削減が必要と指摘している。実現には目標値の引き上げが欠かせない。
先進国でトップクラスの25%減の目標を掲げた日本は高い評価を受けた。ところが具体的な達成の道筋も見えず、腰がふらついているようにも見える。
ここは省エネ技術の支援や環境分野への投資をてこに、途上国に一層の排出削減を促す努力をすべきだ。経済界にとっても新たなビジネスチャンスになろう。
地球の未来への責任は先進国も途上国も負う。最終日に集う各国首脳の決断にかかっている
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2009-12-09
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