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中国が11月に自国製品を優遇する新たな政府調達ルールを導入し、世界の産業界から、中国の政府調達から海外製品が締め出されるのではとの懸念が広がっている。
日本政府も欧米当局と連携して対応を検討しているが、制度には不明な点も多い。情報技術(IT)製品の機密情報をメーカーに強制開示させる制度に続くハイテク紛争問題で、各国は対応に苦慮しそうだ。(北京 幸内康、ワシントン 岡田章裕)
技術移転の野心?
中国の新しい政府調達ルールは、製品の条件として「中国で知的財産権を保有しており、最初に中国で商標登録している」などを掲げており、海外企業が政府調達から締め出される可能性が高い。対象はコンピューター、通信機器など、中国政府がハイテク製品と認定した6分野の125製品と幅広く、影響が懸念される。
2008年に施行された科学技術進歩法で、政府調達は、中国企業による自主的な技術革新を意味する「自主創新」製品に限定する方針を打ち出していたが、今回の措置は、これを徹底する内容だ。
中国は、賃金上昇などで、付加価値が低く価格の安い製品を輸出する成長モデルは限界を迎えている。産業の高度化が課題になる中で、新ルールは、自国のハイテク企業を育成するのが狙いとみられる。
ただ、中国側の真の意図について、「海外企業に中国内での特許などの登録を促し、これを中国に移転させて“中国発”の技術にするという国家的野心がある」との見方もある。
各国連携で懸念表明も
産業界では困惑や懸念の声が広がっている。中国の政府調達の規模は08年に約5900億元(約7・7兆円)だが、各省庁が個別に買うものも含めると、3兆元(39兆円)にのぼるとの試算もある巨大市場だ。
中国の新たな規制について、「中国の現地企業に技術供与すれば条件をクリアできるのでは」(重工大手)との見方がある一方で、「つい数日前に知った。政府調達という範囲も判然としない」(大手電機)との声もあり、中国の対応によっては大きな打撃は避けられず、影響を懸念する関係者は多い。
経済産業省も、「寝耳に水だ。何の連絡もなく、急に始まった」と困惑を隠さない。日本政府は10日、ルールの詳細や意図について中国政府に照会し、回答を要請するなど、規制の概要把握を急ぐ考えだ。
ただ、中国は世界貿易機関(WTO)の政府調達協定に加盟しておらず、日米欧の政府がWTOに提訴するという手段を取るのが難しい。このため、各国が連携して懸念を表明することなどを検討しているが、対応は限定される見通しで、有効な対抗策を講じられるかは不透明な情勢だ。
(2009年12月12日 読売新聞)
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2009-12-15
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