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中国と台湾が自由貿易協定(FTA)を柱とする幅広い経済協力を目指す交渉を始めることで合意した。
分断状態が続く中台間では今年、定期直行便が相互乗り入れし、貿易や投資も活発化している。その延長線上の動きだ。
「中台経済協力枠組み協定(ECFA)」の協議は、年明けにも開始され、双方は来年中頃までの調印を目指す方針だ。
中国と東南アジア諸国との間では、FTAが来年から発効する。台湾がECFA協議へ動いたのも対中市場でゼロ関税となる東南アジア製品に負けてしまうとの危機感からだ。
だが問題もなしとはしない。
台湾内では、ECFAによる経済押し上げ効果への期待の一方、繊維産業などは打撃を受ける、との警戒感が広がっている。
民進党など野党勢力は、交渉の透明性が低く、主権問題を棚上げしたままでは、大陸にのみ込まれるなどとして抗議集会を開いている。馬英九政権による対中融和路線は、台湾社会の分裂を招いているという指摘も多い。
今月初めに行われた統一地方選挙では、民進党の得票率が与党・国民党に2%差に迫るなど野党勢力が勢いを増した。馬総統の個人的な人気に支えられてきた与党優勢ムードは消え去った。
今夏の台風被害では、政権の危機管理能力の欠如を露呈し、内閣は総辞職した。米国産牛肉解禁では住民の反発を招いた。馬政権の支持率は急落している。
中国は、台湾との経済一体化につながる枠組み協定の協議開始を歓迎している。
台湾は経済協議の後、日米欧などとのFTA締結協議の開始を望んでいるが、中国が同意する保証はない。逆に台湾に政治協議の開始を求めてくる可能性が高い。
多くの台湾住民は中国経済の恩恵には浴したいものの、大陸との政治統一までは望んでいない。
中国側の思惑と台湾の民意に挟まれて、馬政権は今後、どんな手綱さばきを見せるのか。2012年春に予定される次期総統選に向けての焦点となる。
中国は今も台湾海峡沿いにミサイル約1300基を配備し、台湾を威嚇し続けている。台湾住民は警戒心を募らせており、緊張緩和のためにも、中国はミサイルを撤去する必要があろう。
中国の胡錦濤国家主席が昨年末に表明した、軍事面での信頼醸成構築を目指す中台間の協議も、早急な開始が求められる。
(2009年12月24日01時31分 読売新聞
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2009-12-24
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