2009-12-24

日本が残した先住民の資料 「台湾文化守った」 テーマパーク建設に貢献

:::引用:::
 番組内容に偏向・歪曲(わいきよく)があったとして、視聴者からの批判が相次いだNHKスペシャル「JAPANデビュー アジアの“一等国”」問題では、日本統治時代の“負”の部分ばかりを強調した内容に、台湾内からも批判が上がったが、台湾の先住民には「日本統治が台湾を発展させた」と考える人も多い。日本統治下で「日本人」として教育を受けた先住民を訪ね、日本への思いを聞いた。(今泉有美子)

 「統治時代、日本は先住民の暮らしや文化を調べて詳細に記録していた。その資料があったから、私たちは文化を守り、伝えることができたのです」。流暢(りゆうちよう)な日本語でこう話すのは、ルカイ族の陳志恒さん(80)だ。台湾の先住民の歴史を伝えるテーマパーク「九族文化村」の立ち上げにかかわり、現在、同パーク内で案内人を務める。

 陳さんは台湾東部の山岳地帯で生まれ、日本語教育を受けた。終戦後は、狩猟などで生計を立てる一方、ルカイ族に伝わる木や石の彫刻を勉強。人物や動物、家など、昔からルカイ族の人々が作ってきた伝統的な彫刻を数十作以上完成させた。今ではルカイ族の弟子を抱え、伝承する立場にいる。

 同様に、ほかの先住民にも伝統工芸や踊りなどがあることを知っていたが、台湾も現代化が進んでいた。陳さんは、「このままでは先住民の文化がなくなってしまう」と危機感を抱き、テーマパーク建設を思いついた。

 台湾当局などから資金援助を得て、1986年に9つの先住民の民家や衣装、祭りなどを伝える「九族文化村」を完成させた。 建設で参考にしたのは、日本が統治時代に制作した先住民の資料だった。

 「各先住民の言語や習慣はもちろん、衣装や宗教、分布地域まで詳細な記録が残されていた。仕事の細かい日本人らしい素晴らしい資料で、建設はスムーズに進みました」。紹介する先住民は今では14族に増え、約2キロの遊歩道を歩きながら各民族の歴史を知ることができる。

 NHKの放送では、日本統治について「負」の部分が取り上げられたことから、「偏向のある内容」と番組出演者だけでなく先住民のパイワン族なども抗議し、番組の訂正や謝罪などを求める事態に発展した。

 「日本の教育は厳しかったが、高い教養や道徳をきっちり教える素晴らしいものだった。統治があったから台湾は発展し、先住民の伝統もこうして残すことができた。強要されたと感じたことはない」と当時を振り返る陳さん。「日本は発展した。それは、日本の教育が素晴らしいからだと思っている。台湾の子供たちにも、統治下でわれわれが受けたような、道徳を重んじる教育を受けてほしい」と話し、パークを歩く子供たちの姿に目を細めた。
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