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山形市内の老舗ホテルに11月25日、来春卒業予定の高校3年生、約300人が県内各地から集まった。就職面接会に参加するためだ。
「えぇーと、料理を作る仕事を希望しています…」「だめだめ。もっと元気よく話さないと」-。会場わきのホールで、生徒が引率の教師と面接の練習を繰り返している。空気が張りつめていた。
この日、ブースを構えたのは県内の約30企業。生徒は志望動機や特技をびっしりと書き込んだ履歴書を握りしめ、採用担当者の前に長い列をつくった。
私立高校に通う高橋絵里奈さん(18)は「こんなにライバルが多いなんて…。接客業が希望だけと、職を選べそうにはありませんね」と不安そう。
高校生の就職の面接・内定は9月16日の解禁。11月下旬に初めて企業の面接を受ける高橋さんの就職活動は周囲に比べ、かなり出遅れていた。
それには理由がある。彼女は当初、美容専門学校への進学を希望していた。お年寄りや子供たちの髪を切り、「きれいにしてくれてありがとう」と喜ばれる美容師にあこがれていた。
ところが今秋、母親が働いていた工場で派遣切りにあい、祖父母を含めた家族7人の生活は同じく派遣で働く父親が1人で背負うことになった。 「両親は『働きながらだったら進学してもいい』とと言ってくれた。でも、中学3年の弟と小学6年の妹がいる。私が就職すれば弟だけでも大学に行かせてあげられるかもしれない…」
◆◇◆
県内の私立高校3年、岩田真理さん(18)は、面接会の前夜、参加企業の資料を何度も読み返した。
「いくら会社紹介を見ても、やりたい仕事が分からなくて…」
岩田さんの両親は3年前に離婚。木造の古い借家で、看護師の母親(42)、パートの姉(20)の3人で暮らす。
岩田さんには理学療法士になる夢があった。
参加していた地域のバレーボールチームで足首をねんざしたとき、理学療法士をしている社会人の先輩が包帯を巻いてくれた。その手際よさにあこがれた。
「専門学校で資格が取れると聞き、自分もなりたいと思った」。母親に相談すると「進学はお姉ちゃんも我慢した。働いて家計を助けてほしい」。
「自分だけわがままは言えない。少しでも医療に関係のある仕事が見つかれば、頑張れると思うんだけど…」。目標は定まらないままだ。 県立高校に通う町田賢太さん(17)は大学進学をあきらめ、就職を決めた。
ガソリンスタンドで働く父とパートの母が、祖父母を含む一家5人の生活を支え、家計に余裕はない。
中学時代から成績が優秀だった町田さんは、奨学金を受け、県立の進学校に進んだ。当初は大学も「奨学金で」と考えていた。
しかし、連日、厳しい雇用情勢を伝えるニュースを目にするうち考えが変わった。「内定取り消し」「過去最低の有効求人倍率」「就職氷河期の再来」…。
高校、大学を合わせて7年分の奨学金を借金として抱えるのが怖くなり、就職を決意した。
派遣切り、雇用調整、家計の悪化…。不況は人々の生計だけでなく、若者たちの夢や希望にまで暗い影を投げかけている。
15日の文部科学省の発表によると、山形県の高校生の就職内定率は54%(10月31日現在)と、前年同期比10・5ポイント減を記録した。全国でも高校生の内定率は55%にとどまっている。
山形の就職説明会で見られた光景は、全国に共通してみられる光景なのだ。
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2009-12-17
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