ロボットは、かつてアメリカ人労働者の雇用を脅かす元凶とみなされていたが、今日では、米国の工場の操業を支える重要な生産ツールに変貌しつつある。
米ロボット工業会(Robotic Industries Association:RIA)によると、北米のロボット関連会社は2007年に、近年では最高となる25%近い受注の伸び率を達成したという。米国の工場では約17万8000台のロボットが稼働しており、米国のロボット産業は日本に次ぐところまで成長している。
デザインや目的は様々に異なるが、エンジニアリングの専門家は、このようなロボットシステムには共通点が1つあると指摘する。すなわち、ロボットはメカトロ設計にはうってつけの試験台である。ロボットシステムを開発するエンジニアは、広範な工学知識を融合し、ハードウエアをつくる前に、最新のモデリングおよびシミュレーションのツールを利用する。この手法は、Design Newsが最近取材したロボットのリーディングメーカー2社、米Adept Technology社と米Motoman社の開発で実際に使われていた。
米ロボット工業会(Robotic Industries Association:RIA)によると、北米のロボット関連会社は2007年に、近年では最高となる25%近い受注の伸び率を達成したという。米国の工場では約17万8000台のロボットが稼働しており、米国のロボット産業は日本に次ぐところまで成長している。
デザインや目的は様々に異なるが、エンジニアリングの専門家は、このようなロボットシステムには共通点が1つあると指摘する。すなわち、ロボットはメカトロ設計にはうってつけの試験台である。ロボットシステムを開発するエンジニアは、広範な工学知識を融合し、ハードウエアをつくる前に、最新のモデリングおよびシミュレーションのツールを利用する。この手法は、Design Newsが最近取材したロボットのリーディングメーカー2社、米Adept Technology社と米Motoman社の開発で実際に使われていた。
ロボットの潜在用途に関して、同社のQuattroロボットは、顧客のスピードに対する要求を満たすという点で、とりわけ大きな存在感を持っている。 Adept社社長のJohn Dulchinos氏は、「Quattroは、従来のロボットの2倍の性能を発揮するから、顧客企業は工場の同じ面積で生産性を倍にすることができる」と語る。
Adept社は、包装機やカートン、トレイ、箱などの積み込み、コンベアからコンベアへの移送など、高速のパッケージングや搬送の用途をQuattroのターゲットとしている。統合された視覚システムと追跡機能を搭載することで、稼働中のコンベアベルトから部品を1分間に180個拾い上げることができる。
Adept社のプロジェクト・マネジャー、Matt Bjork氏が指摘するように、Quattroは直径1.3mの作業領域で重さ2kgの製品を高速のサイクル時間で扱うという、これまで実現できなかった市場の要求に対応している。同氏によると、従来型のSCARA(スカラ)ロボットやその他6軸ロボットなどでは届かない“デッド・スポット”があったという。これまでの並列ロボットもまた、稼働領域の端で500g以上の物を扱うと、性能が低下したという。
Quattroは4本の固定軸があり、1本から4本のコンベアベルトの上方に固定された天井フレームに吊される。統合視覚システムが、コンベアベルト上を流れる部品の位置を特定し、ベルト・ピックアップ枠を通して追跡することで、ロボットは拾い上げるタイミングを判断する。
同社のエンジニアリング・ディレクタのJeff Baird氏によると、このロボットの典型的な用途は、オーブンから出てきた向きがバラバラになっているクッキーのパッケージングかもしれないという。ロボットは、まずコンベアベルト上のクッキーを、同じ向きに並べ、パッケージで密封する前に2番目のコンベア上のトレイに配置する。
創造的ソリューションの模索
Quattroの野心的な性能向上を実現するために、設計チームはロボットの外腕と取り付け台にかかる強い力の問題に取り組む必要があった。主任機械技師のDaniel Norboe氏は、「設計基準を満たすためには、我々は重力や加速によってかかる力を測定し、5億回以上の疲労強度をもつ材質を見いだす必要があった。材料と設計の必要条件を探し、特徴づけるのに、膨大な量の研究を行った」と語る。
設計チームはこの他にも、ロボットの移動質量を最小にしながら、重いモーターとギアを運動連鎖で運ばなくても済むようにする必要があった。これには、ロボットの連結部用に、カーボンファイバーなどの軽量部材を指定する必要があった。この結果、構造的に振動がほとんど発生しない非常に堅牢な設計を実現した。さらに、Quattroは、秒速15m/s²の加速度と長い移動距離の中心部で10m/sの最高速度を実現した。
Quattroはまた、360度の回転を計測する機構を備える。ロボットの可動部に組み込まれたこのデバイスは、並列ロボットの信頼性のある回転の実現に関わる機械設計上の問題を解決する。プロジェクト・マネジャーのBjork氏は、4つの独立したモーターとアームがあるロボットに関わる基本的な方程式について説明する。立体の機械工学設計と組み合わせた数学により、単一の関節の動作を可能にしつつ、フランジが傾くことなく平行性を維持することが可能になった。フランジのスムーズな直線的な運動を実現するため、4つの関節をリアルタイム制御システムにより緊密に協調動作させる必要があった。4つの独立したアクチュエータでXYZ方向と回転(θ)の4自由度を構成する。
もう1つの設計上の課題は、ロボットを肉や魚の包装に使用したあと、洗えるように防水する必要があったことである。ロボットの全表面は腐食性の洗剤に耐えねばならず、また、摩耗などで生じる微粒子が食品に影響を与えないようにする必要があった。クリーンルームに関するISOクラス6以上に対応するため、疲労障害につながる可能性のある多孔性の鋳物ではなく、新規のコーティングが必要になった。
エレクトロニクスのエンジニアは、小型の電子回路パッケージ内で高速動作および加速と正確な位置決めを合わせて実現する課題に取り組んだ。主任エレクトロニクス・エンジニアのDeron Jackson氏によると、Adept社の高性能の“アンプ・イン・ベース(Amplifier-in-base:AIB)”技術は、もともと同社の Cobra(コブラ)ロボットのために開発されていたが、この技術によりこの課題を解決したという。
AIBはロボットのベースに取り付けられ、業界標準のV+ソフトウエアを実行するAdept社の小型のSmartController CXハードウエアと統合されている。このコントローラは、同社のSmartServo分散アーキテクチャを使い、複数のQuattroロボットを協調動作させることができる。顧客は複数のSmartControllerをイーサネットで接続して、様々な規模の統合されたロボット・ラインを形成することが可能となる。全体的な生産ラインによってQuattroに必要なインターフェースが決まる。ある生産システムではDeviceNetなどのフィールドバス技術のデジタルI/Oが好まれ、他のシステムでは顧客が開発したPCインターフェースやPLCアーキテクチャが利用される。Adept社はこれらのインターフェースの利用を容易にするため、Adept ePLC ConnectやAdept Packaging Managerを提供している。
視覚システムに関しては、Adept社はSmartController CXやAdeptSightというPCプラットフォーム、あるいはスマートカメラ技術に組みこまれた広範囲に及ぶビジョン・ライブラリを提供している、と Quattroの主任システムデザイナーのTravis Armstrong氏は語る。ビジョン・ライブラリは高度な視覚を利用した操作や、部品を輪郭形状で特定するObject Locatorというツールを含む。Adept社はまた、IEEE 1394やLinescan、ギガビット・イーサーネット・カメラなどサードパーティ製ビジョン・ハードウエアも利用できるようにしている。
Armstrong氏は、「Adept社はモーション制御と視覚システムを密接に統合しているため、瞬時に、高速コンベア上の部品の位置を正確に特定し追跡できる」と語っている。
設計チームはこの他にも、ロボットの移動質量を最小にしながら、重いモーターとギアを運動連鎖で運ばなくても済むようにする必要があった。これには、ロボットの連結部用に、カーボンファイバーなどの軽量部材を指定する必要があった。この結果、構造的に振動がほとんど発生しない非常に堅牢な設計を実現した。さらに、Quattroは、秒速15m/s²の加速度と長い移動距離の中心部で10m/sの最高速度を実現した。
Quattroはまた、360度の回転を計測する機構を備える。ロボットの可動部に組み込まれたこのデバイスは、並列ロボットの信頼性のある回転の実現に関わる機械設計上の問題を解決する。プロジェクト・マネジャーのBjork氏は、4つの独立したモーターとアームがあるロボットに関わる基本的な方程式について説明する。立体の機械工学設計と組み合わせた数学により、単一の関節の動作を可能にしつつ、フランジが傾くことなく平行性を維持することが可能になった。フランジのスムーズな直線的な運動を実現するため、4つの関節をリアルタイム制御システムにより緊密に協調動作させる必要があった。4つの独立したアクチュエータでXYZ方向と回転(θ)の4自由度を構成する。
もう1つの設計上の課題は、ロボットを肉や魚の包装に使用したあと、洗えるように防水する必要があったことである。ロボットの全表面は腐食性の洗剤に耐えねばならず、また、摩耗などで生じる微粒子が食品に影響を与えないようにする必要があった。クリーンルームに関するISOクラス6以上に対応するため、疲労障害につながる可能性のある多孔性の鋳物ではなく、新規のコーティングが必要になった。
エレクトロニクスのエンジニアは、小型の電子回路パッケージ内で高速動作および加速と正確な位置決めを合わせて実現する課題に取り組んだ。主任エレクトロニクス・エンジニアのDeron Jackson氏によると、Adept社の高性能の“アンプ・イン・ベース(Amplifier-in-base:AIB)”技術は、もともと同社の Cobra(コブラ)ロボットのために開発されていたが、この技術によりこの課題を解決したという。
AIBはロボットのベースに取り付けられ、業界標準のV+ソフトウエアを実行するAdept社の小型のSmartController CXハードウエアと統合されている。このコントローラは、同社のSmartServo分散アーキテクチャを使い、複数のQuattroロボットを協調動作させることができる。顧客は複数のSmartControllerをイーサネットで接続して、様々な規模の統合されたロボット・ラインを形成することが可能となる。全体的な生産ラインによってQuattroに必要なインターフェースが決まる。ある生産システムではDeviceNetなどのフィールドバス技術のデジタルI/Oが好まれ、他のシステムでは顧客が開発したPCインターフェースやPLCアーキテクチャが利用される。Adept社はこれらのインターフェースの利用を容易にするため、Adept ePLC ConnectやAdept Packaging Managerを提供している。
視覚システムに関しては、Adept社はSmartController CXやAdeptSightというPCプラットフォーム、あるいはスマートカメラ技術に組みこまれた広範囲に及ぶビジョン・ライブラリを提供している、と Quattroの主任システムデザイナーのTravis Armstrong氏は語る。ビジョン・ライブラリは高度な視覚を利用した操作や、部品を輪郭形状で特定するObject Locatorというツールを含む。Adept社はまた、IEEE 1394やLinescan、ギガビット・イーサーネット・カメラなどサードパーティ製ビジョン・ハードウエアも利用できるようにしている。
Armstrong氏は、「Adept社はモーション制御と視覚システムを密接に統合しているため、瞬時に、高速コンベア上の部品の位置を正確に特定し追跡できる」と語っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿