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経営とは“信用”:中国人社長、BPOで市場開拓 第3回
中国での「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」サービスで急成長を遂げるインフォデリバ社。しかしこの企業の事業はそれだけにとどまらない。現在では中国進出の日本企業を対象にしたマーケティングや労働力確保などの事業支援も行っている。
――2004年には無錫にも拠点を設立されましたが、ここでの事業はどういう内容ですか?
中国に進出する日本企業のバックオフィスの支援事業です。たとえば日本のベネッセ社が中国で子供教材の「こどもちゃれんじ」の販売を開始したんですが、そのインフラ構築とコールセンター、マーケティングなどのお手伝いをしています。
もともとお客様だった自動車メーカーが現地に工場を設立することになり、そのお手伝いをすることになったのがきっかけで、マーケティングや工場の立ち上げ、労働者の確保といった事業を始めました。昔でいえば商社がやっていたような仕事ですね。
ただ、ビジネスとしてはこれが最終形ではなくて、今後はマーケティングにより力を入れた形にしたいと思っています。中国は巨大で地域間の格差が大きいで すし、政治体制は社会主義なのに経済体制は資本主義という、世界に例がないような難しい国ですから、いろいろな可能性を探っていこうと考えています。
中国は過去20年間、ものすごい勢いで経済が成長してきて、五輪を経験したことで中国人は自信を持っている。ただ、環境問題や食品の安全問題など、たく さんの課題もあります。中国の人たちが自省して、変わろうとする過程で自信を持つことが面子を守り、品質や礼節を重んじることに通じますよね。
ただ、過信に走ってはいけない。そうでないと外からの批判を受け入れられない。例えば乳製品の問題。以前であれば中国の人々の中から「外国人の中国たた きだ」と考える声も上がりましたが、今はもう少し冷静になってきています。今後、中国でも日本のように成熟したサービス業が受け入れられるようになってい くでしょう。ですから我々は日本のサービス業を中国に送り込むような仕事をしようと思います。「中国だからこのぐらいでいいや」と考えずに全力で事業を行 うことができれば、金融や教育サービス、飲食に医療など、あらゆるサービス業でどんな業種でも成功できると思いますよ。
――今の時点で、御社の売上の構成はどのようになっていますか?
07年は売上高28億円、今年は38億から40億円になる見込みですが、比率でいえばBPOが6割以上ですね。伸び率は中国でのマーケティングや人材派遣など業務支援の方が高い。利益も8-9割はBPOからですね。今後はどちらの柱も大きくしていく予定です。
BPOはまだまだ伸びますよ。現在、BPOのお客様が70社ほどあるのですが、そのうちの約60社は日本の一部上場企業です。そうしたお客様からみれば、今までのBPOはまだまだ“練習”。これから本格的に中国企業に進出していくという段階です。
特に日本の金融企業は昨今の世界的な金融不安を経て、ようやくグローバルな展開が必要だと意識するようになってきましたよね。企業が外国人を使って事業 を進めるということは、相手の国の普通の人の思考ロジックを理解しないと何も始まらない。弊社は日本企業の中国事業が円滑に進むように、二つの国の間をつ なぐお手伝いをしていきたいと思います。
――今後5年、10年で御社の売り上げはどのように伸びていくと想定されていますか?
今は純粋にオペレーションの拡大だけなので年率70%の成長が限界です。そこで、体力が許す範囲で可能であれば年に1件から2件は企業のバックオフィス などの買収・合併を行っていきたいと思います。その上で5年後に300-400億円程度の売り上げ、10%の利益を目指します。今、ビジネスモデルが確立 して、ベンチャー企業から普通の企業への過渡期にあると感じますね。
――今後、経営では特にどの方面に注力されますか?
人材の育成です。我々の企業は特許を持っているわけでもないし、ビジネスモデルも経営者も強くない。一つ一つは小さいのですが、それでもお客様の信頼を 得ることができたのは、他の企業がとりたがらないリスクをとり、人一倍がんばっている、という部分が伝わったからだと思います。社員は1000人を超えま した。企業として大きくなると、リスクをとらなくなる。そうではなく、ちゃんとチャレンジして、失敗をした時には責任をとる。お客様に対して「一緒に挑戦 しましょう」と言える人材をどう育てていくかが、この企業がどこまで成長できるかにつながると思っています。
――最後に、尚社長にとって「経営」とは何ですか?
それはもう、「信用」です。お客様の信用、社員との間の信用、マーケットの信用。いかに信頼関係を作るか、です。(文責:サーチナ・メディア事業部)
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2008-10-23
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