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政府の観光立国政策の中核を担う「観光庁」が1日発足する。2010年までに訪日外国人を年間1000万人に引き上げ、対日投資促進につなげることなどを核に、関連消費や雇用の拡大にまで波及させ、国内経済の活性化に役立てる考えだ。国内では将来的に少子高齢化や人口減少が予想されており、建設業など従来、日本経済を支えてきた産業は衰退。政府は、観光産業を経済浮揚の新たな起爆剤としたい考えだ。
観光庁の設立は、観光振興をうたった観光立国推進基本法の06年12月の成立時、国会の附帯決議として明記されていた。観光行政を担当してきた国土交通省総合政策局の観光政策課、観光経済課、国際観光課など6課を切り離して外局とし、初代長官には、本保芳明総合観光政策審議官を充て、103人態勢でスタートする。
外局として国交省と“分離”することで、観光行政の“顔”とする考え。独自に観光振興に取り組んでいる国交、外務、文部科学、経済産業など各省庁の調整役となり、指摘されていた縦割り行政の弊害をなくす。
核となる海外からの外国人旅行客呼び込みについては、06年時点で733万人だった外国人旅行者数を10年までに1000万人に増やすことを目指す。狙いは、外国人旅行者自身による関連消費を増やすとともに、対日投資の拡大へのきっかけを作ること。国交省は「旅行に来てもらったり、草の根レベルの国際交流を進めることで海外諸国にも日本の事情にも通じてもらい、企業誘致や取引増加につなげたい」とする。
だが、日本は従来、海外からの旅行者数がほかの諸国と比べて少なく、06年時点ではフランスやスペイン、米国、香港、ギリシャ、タイなどを下回り、30位にランクされている。
国交省は03年以降、海外のテレビクルーを呼んで地方の温泉地やスキー場を取材してもらったり、PR資料を海外諸国の政府を通じて配ってもらったりするなど、日本の魅力を海外に伝えて訪日外国人を増やそうという「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を展開している。07年までには、訪日外国人客は521万人から835万人まで300万人以上増えたといい、成果を発揮した。
観光庁発足を契機に今後は、外務省や文化庁と連携した文化芸術の発信など、施策の強化をはかる考えだ。
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【予報図】
■地方のインフラ整備カギ
観光庁が目標として掲げているのは、訪日外国人旅行者数の増加のほか、「日本での国際会議の年間開催件数を、168件(2005年)から252件(11年)へ」「日本人の年間海外旅行者数を1754万人(06年)から2000万人(10年)へ」などだ。
このほか日帰り旅行の増加や余暇の増大、お金も時間もある団塊世代の引退が増えることの影響も加味し、10年度の観光旅行消費額を、05年度(23.9兆円)の1.2倍にあたる29.7兆円にまで拡大させることを目指している。
訪日外国人旅行客については、「すでに東京・銀座には大勢の外国人客が買い物に繰り出しているほか、世界遺産に登録されたり、ミシュランの日本版旅行ガイドに掲載されたりした地域は、観光客が増えるなどの具体例もある」と第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミスト。「地域の魅力を発信すいることに成功すれば、国内で少子高齢化が進む中、“外需”は地域経済にとって大きな助けになるだろう」と指摘する。
ただ、行く手には暗雲も立ちこめる。国交省によると、海外からの訪問客増加分の8割を中国、韓国、台湾などのアジアからが占める。しかし、「アジア経済の減速で、彼らの訪日が減少する可能性がある」(永浜氏)。
また、日本から海外への旅行も、最近の燃油高騰による航空運賃高が足を引っ張っているのが実情。こういった逆風を乗り越えるためには、本格的な振興策が必要だ。海外からの観光客呼び込みに不可欠な観光ガイドや通訳が東京に一極集中している現状を改善し、地方での観光インフラを強化することなどが求められている。
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2008-10-01
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