中国の南開大学は、ソランおよびデジタルハリウッドとの間で、デジタルメディア教育事業ならびにデジタルメディア産業の共同推進に関する協力議定書 を締結した。議定書の内容としては、三者共同でデジタルメディアにかかわる人材育成、技術教育、研究開発およびコンテンツ制作にあたるとなっている。4月 にはソランが1億5千万円の投資で「南開大学ソランデジタルメディア学院」(仮称)を新設、三者共同で「天津ソランデジタルメディア有限公司」を設立する ことに合意、契約書に調印した。
今回の提携は、中国が、世界でもトップレベルにある日本のデジタルメディア技術と教育ノウハウを取り入れ、中国国内のデジタルメディア産業のニーズに対応し、南開大学を拠点とするデジタルメディア人材育成システムを構築することを目指すものだ。
南開大学の侯自新学長は、「中国のデジタルメディア産業はスタートが遅れたが、昨今、極めて急速に発展している。国と地方政府は、デジタルメディア という技術と芸術を融合しているだけでなく、産業と文化を包含する新たな領域を非常に重視しており、これまで既に複数のアニメ産業基地やコミック、ゲーム 起業拠点を設立した。しかし、中国のデジタルメディアに関連する技術開発や、エンターテインメントコンテンツの生産は、まだ需要に対応しきれていない。し かもここへきて人材の不足がデジタルメディア産業発展の阻害要因になってきている。ある予測によれば、今後3~5年の間に、デジタルメディア産業は中国の IT産業とエンターテインメント産業の柱となると見込まれるが、一方では、人材不足が60万人規模にも達すると見込まれる。本学を含む三者の提携プロジェ クトが、既に天津市の2006年ソフト産業発展計画に組み入れられていることからもわかる通り、政府側も今回のプロジェクトを極めて重視している」と語っ た。
ソランは、1992年から中国における現地法人・北京素浪計算機を拠点としてシステム開発業務を展開してきた。同社は「中国社会への寄与」と、既存 事業とのシナジー効果を狙う観点から新たな事業展開、とりわけ「人材育成」を重視している。デジタルハリウッドは当該分野での教育ノウハウという点に強み をもち、これまで培ったノウハウに「中国特有の要素」を加味した教育コンテンツ、ツール開発により、中国においてこれまでなかった高いレベルのデジタルメ ディア人材教育体制の確立を目指す。
新たに設立される南開大学ソランデジタルメディア学院は、今年9月には開校する予定。中国を代表する老舗の大学と日本のIT企業、デジタルメディア教育機関が、新たな実務提携の中から真に実効ある日中合弁教育機関を育てていけるか――今後も業界内の注目を集めそうだ。
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