2008-05-30

【時の人】ガーナ大学日本語講師 米山博子さん

:::引用:::
■「人間を問う」奴隷貿易に絵本

 ガーナ北部の町サラガに、西アフリカ最大の奴隷市場があった。平和に暮らしていた12歳の少年が奴隷狩りの男たちに襲われ、市場から奴隷貿易で米国に渡るまでの物語を絵本「サラガのバオバブ」にして出版した。

 「サラガの部族長に出会って昔の奴隷市場の跡を案内してもらい、奴隷を鎖でつなぐため鉄のくいが多数打たれたバオバブの大木があったと聞いて、心が揺さぶられた」

 その思いを絵本に表現した。サバンナに立つバオバブの木が生き証人となって物語る話にガーナ人のイラストレーターが絵を描いた。絵本作家の助言で書き直しを重ね、4年がかりで完成した。

 「奴隷貿易は負の歴史です。奴隷狩りをしたのはアフリカ人で、白人のせいだけにはできない。奴隷の売買にかかわったのも同じ人間です。人間とはどうあるべきか、考える材料を提供したい。いい未来を築くために書いた」と情熱を込める。

 アフリカへの愛着は深い。ガーナに渡って15年。首都アクラにあるガーナ大学でずっと日本語講師を務め「居心地がよい」と気に入っている。

 絵本の応援団は多彩。大学の教え子が在日ガーナ大使館におり、横浜市で開かれた「アフリカン・フェスタ」でこの絵本を紹介してくれた。国連教育科学文化 機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長も「世界中の人々の尊厳と平等を願う多くの人の手にとられることを」と推薦文を寄せた。

 「人身売買や児童労働の問題は今もある。英語版もぜひ出したい」。49歳。北海道出身。
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